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〔連載〕たまごの挑戦
〔写真で見る〕たまごの風景
〔連載〕たまごの挑戦

【第2回】「浜名湖の水源」となるために

連載第2回目は、「地球のたまご」のテーマのひとつ、「浜名湖の湖岸を再生し、水源となる」とは具体的にはどういう取り組みなのかご紹介します。

2004年11月19日掲載

ちょっと変わった湖、浜名湖

地球のたまご地図

浜名湖は、面積が約70km2の全国10位の湖です。うなぎやすっぽんの養殖などでも知られています。

この浜名湖、実は、名前には「湖」とついていますが、普通の「湖」とは少し異なります。河川法上は浜名湖に注ぐ都田川の一部(河口)となっており、二級河川なのです。一方で、淡水湖だった室町時代に、地震によって太平洋とつながり、今では各所に「海水浴場」がある「海」でもあります。

海水と淡水が交じり合う汽水湖のため、漁業資源も豊富で、単位面積あたりの漁獲高は全国有数です。潮干狩りなどの観光客も多く訪れます。その一方で、塩水化や富栄養化が問題視され、さまざまな水質浄化の取り組みが進められてきています。

「地球のたまご」は、この浜名湖のほとりに建っています。自分で汚した水は、自分できれいにして返す、という考え方にたち、合併処理浄化槽を導入し、敷地全体を利用して水質浄化に取り組んでいます。

 

敷地内ですべて処理します

連載1回目でご紹介したように、「地球のたまご」のテーマのひとつに「浜名湖の湖岸を再生し、水源となる」ということが挙げられます。地域の植生を通過して浄化された水が浜名湖に流れ込む、という状態が目標です。

敷地内で処理すべき水は、大きく分けて3種類あります。ひとつは、し尿の処理水。もうひとつが、生活雑排水。そして雨水です。「地球のたまご」では、これらすべてを、外部の施設に依存せず、敷地内で処理しています。

まず、し尿はバイオマストイレを用いて処理します。汚泥(微生物の排泄物)を別の微生物によって処理させる共生型システムで、無臭・無排水、洗浄水はリサイクルされ、外部への排水はありません。

雑排水は、合併浄化槽で処理します(本来は、し尿も雑排水も処理する合併処理浄化槽ですが、ここでは雑排水だけを処理しています)。処理水は第一観察池に入り、水質浄化池、第二観察池を経て大池に入ります。

大池と第二観察池

手前に見えるのが第二観察池。奥は大池。

それぞれの観察池では、合併浄化槽での処理後の状態、植物浄化後の状態をチェックできるようになっています。

施設が稼動しはじめて間もないため結論を出すのは早計ですが、2004年8月末での調査ではきれいな水質が達成されています。今後も注意深く見守っていきます。

2004年8月27日 気温25℃ 水温各27℃

  観察池1 観察池2 大池(貯留池)
BOD 2.4 1.2 1.0未満
COD 4.8 4.0 5.1
トータル窒素 1.0 0.4未満 0.4未満
トータルリン 0.15 0.02未満 0.02未満
SS 7 3 4

※単位はmg/L
BOD…水中の有機物が微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素の量。有機物による水質汚濁の指標。水質が悪いほど大きくなります。魚のすめる水質は5mg/L以下といわれています。
COD…水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもの。水質が悪いほど大きくなります。
SS…水中に浮かぶ浮遊物の量。

大池の水位上昇

雨水は、敷地内の水路や凹地、湿地などを通って大池に入ります。

大池までの経路には、敷地内にもともとあった水生植物や、「どんぐりプロジェクト」で採取・移植した在来植物が植栽されています。

大池には、浜名湖より1.8mの高さにオーバーフローを設け、大雨の際には余剰水が水位調整ゲートから排出されますが、通常は敷地内の浸透・蒸散によって処理されています。

写真は雨で増水した大池。

自然と応答しながら

2004年は記録的な台風の上陸で、予想以上の大池の水位上昇に慌てることもありましたが、事なきを得て、自然と応答する日々を送っています。

大池には、これも「どんぐりプロジェクト」で採取してきた浜名湖・都田川水系の魚が放たれており、その数も日に日に増えているようです。魚を狙って鳥もやってきます。

→関連ページ:「地球のたまご」の動植物

カワアナゴ サギ

【左】珍魚「カワアナゴ」。埋め立て中の池から救ってきました。
【右】サギが毎日のようにやってきます。

トンボ今後、水質の安定を見極め、護岸の一部を撤去し、浜名湖の生物が敷地内に遡上してくるようになれば、湖岸の修復が達成されたといってよいと考えています。

田植え

水質浄化池の一部に稲を植えました。田植えの風景。

  1. どんぐりプロジェクト
  2. 「浜名湖の水源」となるために
  3. 「素材」を得て
  4. 「地球のたまご」の歩き方
  5. 木材の話
  6. 補助金の話
  7. 「地球のたまご」の同居人
  8. バイオマストイレの話
  9. 「はまなこ学遊倶楽部」
  10. 第1回はまなこ学遊塾
  11. 緑の遮光カーテンはじめました
  12. 環境教育1(たまごの定番プログラム)
  13.    
  14. 環境教育2(サーモカメラで学校を撮影)
  15. レッツ!ソーラークッキング
地球のたまご