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全館空調にこそパッシブデザインは不可欠!

今、全館空調システムが注目され、多くの製品が登場していますが、どのような空調システムを採用するにしても、建物本体の性能を高める設計が不可欠です。

パッシブデザインとは建物の性能をきちんと考える設計そのものです。

2022年1月31日のコラム「意外と知らない!?全館空調で快適性を維持しながらも、ZEHを達成できる3つのコツ」では、全館空調の家でZEHやそれ以上の省エネを達成する方法の1つとして「パッシブデザイン」についても紹介していますので、今回はパッシブデザインに焦点をあてて解説いたします。

 

 

目次

 

 

 

 

パッシブデザインとは

パッシブデザインとは、太陽の光や熱、そして風といった「自然から得られる恵み」を最大限に建物に取り入れつつ、必要以上の熱や光の侵入は抑制する設計思想・設計手法のことを言います。

こうしたパッシブデザインの手法を活かして、建物の性能、日射熱や自然風を利用することで「快適・健康・省エネルギー」を高いレベルで実現させることができます。

 

 

 

 

 

パッシブデザインは「特別仕様」ではなく「標準仕様」

省エネと快適を両立させるためには「このお客さんの家はパッシブデザインで設計するけど、このお客さんの家にはパッシブデザインは使わない」というものではなく、全ての設計のベースと考えるべきです。

もちろん全館空調を採用する設計においてもパッシブデザインは不可欠です。

 

 

パッシブデザインの5つの要素

建物の性能というと、まず断熱性能が挙げられがちですが、断熱性能だけに特化するのではなく、以下の5つの要素を適切に取り入れる必要があります。

その際、5つの要素が対立することも考えられるため、それをいかに解消するかがパッシブデザインの最大のポイントになります。

 

 5つの要素 

①断熱

②日射熱利用暖房

③日射遮蔽

④自然風利用

⑤昼光利用

 

 

 

①断熱

冬の暖かさを実現する上で断熱はとても重要です。

断熱性能を高めることで、暖房室と非暖房室の温度差も小さくなります。

また、断熱性能とともに、気密性能の向上も考慮することで、暖かさが持続します。

 

 

②日射熱利用暖房

冬の日射を室内に取り入れることで室温が上昇します。

この熱の恩恵を夜間も受けるためにも断熱性能(さらには蓄熱性能)が求められます。

 

OMソーラー 3GOALS パンフレットより

 

 

③日射遮蔽

夏は日射を遮蔽することで夏の冷房効果を高めます。

具体的な対策の部位は窓(日射対策)、屋根や外壁(断熱強化)、通気層や換気(熱の侵入抑制)です。

夏に入ってくる熱の約70%が「窓から」となり、これを少なくしないと夏の満足度を上げることはできません。

 

OMソーラー 3GOALS パンフレットより

 

 

④自然風利用

室温よりも外気温が低い時には「涼感を得る」と「排熱」も効果的です。

ただし風の向きは気まぐれなため「全方位からの通風」「ウィンドキャッチャーの活用」「立体的な通風」を組み合わせることが効果的です。

 

OMソーラー 3GOALS パンフレットより

 

 

⑤昼光利用

太陽の光を有効に利用することで、照明器具に頼らず、明るい室内空間を実現させることができます。

利用の方法としては窓からの「採光」と、建物に入った光をできるだけ奥に導く「導光」の手法があります。

 

OMソーラー 3GOALS パンフレットより

 

 

 

 

パッシブデザインには科学的な根拠が不可欠

このようなパッシブデザインの手法を取り込む上では、その効果を予測しながら設計を進める必要があります。

具体的には敷地における日当たりを考慮した建物の配置、屋根、壁、窓などの部位ごとの断熱のバランス、窓から得る日射の取得と室内から逃げる熱のバランス、さらに冬の日射取得と夏の日射遮蔽など、多くの要素の中から最適な組み合わせを考える必要があります。

これに空調設備などのアクティブデザインの要素を組み合わせて、室温や消費エネルギー量の予測が求められますので、複雑な計算を可能とするシミュレーションが不可欠です。

 

 

パッシブデザインは説得力あるプレゼンの根拠

 

こうして導き出した結果は、お客様に対する説明の際にも信頼される根拠となります。

 

やみくもに詳細な断熱性能や設備のスペックを並べても、それだけで理解、納得されるのは極めて稀なケースと考えるべきでしょう。

例えばお客様に対して「UA値は0.5です」「エアコンの暖房能力は6.7kWです」というのではなく、「1月1日の朝6時の寝室の室温は18℃です」「年間の光熱費は15万円です」と説明する方がわかりやすく、判断も早くなるはずです。

 

またプランに関しても、「なぜこの位置にこの大きさの窓をつけたのか?」「軒の長さを決めた理由」「二階リビングにした理由」などなど、熱や空気、光、風の動きを考えた理にかなった設計であり、数値的にも根拠があることをお客様に理解していただくことで、お客様も納得しやすく、入居後の満足にも繋がります。

 

このようにシミュレーションは設計ツールとしてだけではなく、営業ツールとしても非常に有効です。

そしてこうした設計や営業の手法はノウハウを共有しやすく社内の設計力が安定し、自社の強みのアピールにもつながります。

 

 

 

 

「パッシブ」と「アクティブ」の融合で健康・快適・省エネを目指す

今回は全館空調の効果を発揮させるためにはパッシブデザインが不可欠であり、その設計の過程においては、アクティブデザイン(空調設備)と組み合わせたシミュレーションが不可欠という話をしてきました。

 

特に「全館空調」は快適・健康のレベルが高くなるというメリットがあるものの、エネルギー消費は増える傾向になるため、導入にあたっては室温とエネルギーを確認しながら設計することが求められます。

 

これからの家づくりでは、ぜひ「パッシブデザイン」と「アクティブデザイン」を適切に融合させて、省エネ・快適・健康的な家づくりを実現させてください。

 

©住まいと環境社・野池政宏|パッシブデザインの今とこれから

 

 

▼パッシブデザインに関する資料はこちら

 

 

 

 

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