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- 意外と知らない!?全館空調で快適性を維持しながらも、ZEHを達成できる3つのコツ
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「昨今の脱炭素に向かう状況を鑑みて、自社のZEH率を上げていきたい」
「お客様の快適性や健康面から全館空調を導入したいと考えている」
「でも、全館空調を導入すればエネルギーの消費量が増え、そもそものZEH達成が困難になりかねない」
こんな悩みをお持ちではありませんか?
相反するこの「ZEH」と「全館空調」。
この問題をどのように解決していくのかをこの記事ではご紹介したいと思います。
目次
解説の前に抑えておきたいポイント
1)中小工務店と大手ハウスメーカーのZEH普及率
まず大前提に経済産業省は、
「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」
という目標を掲げておりますが、現実は次の資料からもわかるように一般工務店や設計事務所によるZEH化は大幅に遅れております。
ただし「ハウスメーカー=ZEH」ではなく、ハウスメーカーであっても全館空調を売りとする会社さまはZEH率が限りなく低いということです。例えば、H社のZEH率は0%であったり、M社のZEH率は10%であったりと。
つまり、冒頭にもお伝えしたように全館空調とZEHは相反する関係となっています。
2)2030年に向けて国策はどこに向かうのか(ほぼ確定)
高い断熱レベルと省エネ性能を求める住宅取得者が増える
ZEHの現状を知るにはまず国策です。
次の資料からもわかるように脱炭素に向けて1年単位でどんどん施策が打たれていくことが検討されています。
では、上記国策の流れを受け、民間、いわゆる住宅取得者がどのような動きを取るのか。
これらをちゃんと理解し、未来を予測することが重要になってくると私たちは考えます。
キーワードは5つ。
- 健康室温 ※冬の居室の室温18℃以上 ※非居室(非暖房室)は居室との温度差5℃以内
- 全館空調
- 高い断熱レベルと省エネ性能を求める住宅取得者
- 計算やシミュレーション
- パッシブデザイン
実は設備と同じくらい重要な要素がある!
結論から述べると断熱性能(UA値)が『省エネ基準適合レベル』では、前述する国策、民間の動きに対応していくにはかなり厳しいです。
なぜなら、次の表からもわかるように断熱等級6や7のような新設される上位等級についても議論が進み、具体化しつつあるからです。
つまり、最も等級の低い『省エネ基準適合レベル』ではもはや時代遅れとすら言えます。
等級 | 4 | 5 | 6 | 7 |
(現行) | (2022年4月〜) | (2022年秋〜) | ||
水準 | 省エネ基準 | ZEH |
HEAT20・G2 ※5地域で補正あり |
HEAT20・G3 ※5地域で補正あり |
UA値 |
0.87 | 0.6 | 0.46 | 0.26 |
※新建ハウジング別冊 住宅産業大予測2022より抜粋
また、すでに鳥取県で実施される上位等級への助成のように今後は都道府県別の施策も活発になることが予想されるため、省エネ基準適合義務化となる2025年に向けて業界全体が高断熱化へ加速していることがわかります。
2)断熱レベルはHEAT20/G2が妥当かも
では、どの程度の断熱性能がいいのか。
このような議論をあちらこちらで耳にすることがありますが、やはり先々のことを考えると今、目指すべき断熱レベルはG2レベルで、暖冷房手法の中でも一般的な壁掛けエアコンだったり全館空調などありますが、まずは断熱性能はG2レベルを目指すことおすすめいたします。
しかし、いきなり自社の仕様を変更して「明日からG2レベル!」というわけにはなかなかいきませんので、次の資料にもあるように段階的に仕様を上げていくのがいいのではないかと考えます。
設備だけを考えていてはダメ。
これからはパッシブデザインを手中に
1)ポイントは日射熱取得&日射遮蔽
ここまでくると「断熱OK!」「設備OK!」「うちの家づくりはもう大丈夫!」といきたいところですが、前述のとおり国策を受け、高い断熱レベルはもちろんのこと、ますますの省エネ性能を求める住宅取得者が増えることが予想されます。
ちなみに断熱レベルだけを上げれば、快適な家づくりができるというわけではないということをここではしっかりとお伝えしておきます。
快適な温熱環境を作りながらもより省エネな家づくりを行う最大のポイントは…そう!パッシブデザインです。
▼パッシブデザインとは?
建物の性能、日差しや風を利用するための工夫によって、快適と省エネを実現させる設計手法
タイトルのとおりポイントは日射熱取得&日射遮蔽ですが、断熱レベルを上げただけでは夏の室内環境の質が不十分になりますので、特に重要なのが夏の「日射遮蔽」で、冷房の効き具合はこの「日射遮蔽」をするかしないかで大きく左右されます。
ここでは最後に、パッシブデザインの設計5項目がどの季節に貢献するのかを超簡単に整理したいと思います。
- 断熱(&気密)=保温 → 冬のパッシブデザイン
- 日射遮蔽 → 夏のパッシブデザイン
- 自然風利用 → 中間期と夏のパッシブデザイン
- 昼光利用 → 明るさ(通年)のパッシブデザイン
- 日射熱利用暖房 → 冬のパッシブデザイン
2)根拠ある家づくりにシミュレーションは必須
前述のパッシブデザイン。家づくりには大変重要な要素であることがわかりましたが、ではそのパッシブデザインをいかに評価するのか。
パッシブデザインを意識する、しないの設計では大きく家づくりが異なるのはもちろんですが、問題なのはこの業界に蔓延する『なんとなくパッシブデザイン』。
▼なんとなくパッシブデザイン一例
深い軒は夏対策にもいいだろうし、意匠性も高い。
この『なんとなくパッシブデザイン』。せっかく冬の日差しを取り込みたいのに、軒が深すぎては室内・奥までに日射を取り込むことが困難になってしまいます。
だからこそ、どの程度軒を伸ばせば、日射をしっかりと取り込むことができるのかを建てる前にちゃんとシミュレーションソフトを使って定量的に判断する必要があります。
3)適切な暖冷房手法の確立
ここまで断熱、パッシブデザイン、シミュレーションについて解説してきましたが、最後は実際にどのように暖冷房手法を確立するのかということです。適切な暖冷房手法は快適性の向上はもちろん、省エネ性能にも大きく貢献します。
なお、暖冷房手法の考え方は大きく分けて2つあり、どちらが正解というわけでもないため、それぞれの会社さまで考え方を決めることをおすすめいたします。
ひとつめは、簡単派。
全館空調を採用します。ただし、快適性は安定的に実現することができますが、省エネではなくなってしまうケースがあるため(特に暖房)、前述する一定以上の断熱レベルほか日射熱取得をはじめとするパッシブデザインの設計手法を確立する必要があります。
そして、ふたつめは、綿密派。
健康室温(冬の居室の室温18℃以上・非居室(非暖房室)は居室との温度差5℃以内)を実現させながら、最小限の暖冷房エネルギーを実現させる暖冷房計画を綿密に考えるというスタンスです。
OMが提唱する、ZEHよりも省エネなZEHとは?
1)ZEH進化版その1 Real ZEH(リアル・ゼッチ)
ZEH(ゼッチ)は項目としては次の5項目となります。
- 暖房
- 冷房
- 換気
- 照明
- 給湯
そして、そのZEHの上位ランクに位置するのが私たちが2015年頃より提唱する『Real ZEH』というものです。こちらは上記5項目に含まれていない冷蔵庫やテレビなど家庭で消費する『家電』も含めた全てのエネルギーを対象に年間収支ゼロになることを意味しています。
これこそが真の意味でのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です(と声を大にして言いたい)。
2)ZEH進化版その2 All Time Real ZEH(オールタイム・リアル・ゼッチ)
さらに、『Real ZEH』の上位ランクに位置するのが『All Time Real ZEH』です。
24時間365日、常に『Real ZEH』達成を目指し、エネルギーを使用しながら買電に頼らずに生活できるエネルギー完全自給という考え方です。
『Real ZEH』『All Time Real ZEH』ともに評価、計算は弊社のシミュレーションソフト『OM版ホームズ君』等を利用しており、パッシブデザインのパートでも解説いたしましたが、いずれにせよその建物がどの程度省エネになるのかを設計段階でちゃんとシミュレーションすることがこれからの家づくりには大変重要な要素になっていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。全館空調を導入すれば、ZEHの達成が困難と思われておりましたが、工夫次第でZEHの達成どころか、その先にあるReal ZEH、All Time Real ZEHまで家づくりを進化させることも可能であることがわかりました。
ぜひこれを機にお客様の快適性や経済性はもちろんのこと、持続可能な社会を目指した家づくりを一緒に普及させていきましょう。
OMソーラーの全館空調についてさらに知りたいという方へ
出典:「パッシブ&エネルギーデザイン」ホームページ
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