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室温と健康の関係

ヒートショックをご存知ですか?

 

ここ数年、「住宅内でのヒートショックによる事故」がテレビや新聞でも取り上げられるようになりました。

ヒートショックとは、急激な温度の変化が血管を収縮・拡張させ、心拍数や血圧に影響を与えることで、その影響は心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中につながります。

厚生労働省は年間の入浴中の事故死数が約19,000人、その原因の多くが心筋梗塞や脳梗塞と発表しています。

ヒートショックに注意が必要なのは、高血圧や動脈硬化の傾向がある人や高齢者だけではありません。働き盛りの40代の中にも「ヒートショック予備軍」が多く存在するといわれています。

 

 

ヒートショックが問題になる大きな理由は「先進諸外国と比較して非常に貧しい」といわれる日本の住宅の温熱環境にあります。

「OM羅針盤」の第1回目では、心地よさを提供できるのがよい家であり、その心地よさの大前提として「室温」が重要なキーワードであると書きました。

最近になって「エコハウス」や「高気密高断熱住宅」という言葉も一般的になってきましたが、これらの住宅においても、まだ省エネ性能や光熱費の削減ばかりが注目される傾向にあります。

たしかに「年間10万円の光熱費削減」という表現はわかりやすく魅力的に見えるものです。

 

一方で私たちが大切な要素として提案している「室温」は、なかなか数値ではイメージしにくいようです。

例えば「冬の平均室温が2℃上昇する」といわれてもピンと来ないのではないでしょうか。

この「平均室温」を2℃上昇させるためには、居間の室温を上げるだけではなく、脱衣所やトイレの室温を上げたり、夜間の室温の低下を抑える工夫が必要であり、その成果がヒートショック対策にもなるのです。

 

そのことを具体的にイメージしていただくために、どのような場面でヒートショックが起こるのか、その典型的な例を紹介します。

 

冬に、暖房が効いた部屋から、寒い脱衣所に移動して服を脱ぎ、さらに寒い浴室に入り、今度は熱い湯船に入る。そして、また寒い脱衣所へ。と、わずか1時間足らずの間に血圧は急激な上昇と下降を繰り返します。

また、浴室内でも、血圧の急激な変動によって湯船の中で意識が朦朧として沈んでしまうケースと、「脱衣所が寒いから、できる限り温まろう」と、必要以上に長く入浴して、のぼせて溺れてしまうケースがあります。

 

就寝時においては、夜中に33℃前後の布団の中から、10℃以下のトイレに行く時や、朝、冷え切った部屋で布団から出る時にも大きな温度差にさらされます。

寝室の室温については「布団をかぶれば平気」と考える人もいるようですが、冷気は肺を冷やし体温を下げます。

また、衣類を多く着て、布団もたくさんかけると寝返りが妨げられ、睡眠の質が悪くなることもあります。

「脱衣所は寒いもの」「夜は寝るだけだから寒くてもいい」といった考え方が、結果として体に負担を与えているのです。

また、冬の停電時などにおいても、最低限の室温を保つことができる建物性能にしておくことは「防災」の観点からも重要なことです。

 

 

良好な温熱環境は疾病予防と健康増進を支える

 

私たちは、よりよい温熱環境の提案のために、2014年11月から2015年2月にかけて慶應義塾大学、自治医科大学、オムロンヘルスケア株式会社と共同で、室温が血圧に与える影響についての調査を実施しています。(※1)

 

その調査からは、

 

「寝室の室温の低下は、朝の血圧の上昇に影響する」

「足元の冷えは、血圧の上昇に影響する」

「室温を高く維持することで、血圧の上昇を抑制することができる」

 

といった結果が得られ、循環器系疾患の予防には、睡眠中の寝室の室温と、居室との温度差の管理が大切であることが確認できました。

その対策としては、建物の断熱性能を高めると共に、OMソーラーのような全館暖房・24時間暖房・床暖房が、健康面のリスク回避においても効果的と判断しました。

 

こうした住宅の温熱環境と健康の関係については、2018年1月に国土交通省からも調査報告が発表されています。(※2)

ここで発表された報告は平成26年から5年間にわたって行われる調査の中間発表で、弊社が実施した前述の調査より、対象者、調査項目を増やした内容となっています。

この調査では、住宅の室内環境と血圧など健康との関係について、以下の内容が確認されています。

 

「起床時の血圧上昇は高齢者ほど大きい」

「室温が低いほど、起床時の血圧が高血圧となる」

「朝の居間の室温が低い家に住む人ほど、動脈硬化指数が高く、心電図異常所見が多い」

「断熱改修後に起床時の居間室温が平均2.5度暖かくなった場合、起床時の血圧が低下」

「就寝前の寝室の室温が低いほど夜間頻尿リスクが高く、断熱改修後に夜間頻尿回数が減少」

 

これらの結果は、家づくりにおける温熱環境の重要性を示唆しています。

この調査の他にも、一般住宅から暖かい家に転居することでアレルギー性鼻炎、高血圧、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、糖尿病、心疾患といった疾病の改善が見られる調査結果などもあり、住宅の温熱環境と健康の関係はさまざまな調査で明らかになってきています。

 

誰もいない部屋の照明やテレビを消すことは、エネルギー削減のための適切な行動ですが、室温に関しては事情が違います。

誰もいない廊下やトイレ、就寝後の室内が寒い状態は住まい手にとっての大きなリスクということが、これらの調査からもお分かりいただけると思います。

「寒いからドアを閉めて!」と怒るのではなく、部屋のドアを開けっ放しにしても寒さを感じないような家づくりを目指すべきです。

 

そして、良好な温熱環境が整った家の中では、年代を問わず、室内での行動も活発になる傾向にあり、乳幼児の時期の温熱環境は、その後の健康状態に影響を与えるともいわれています。

温熱環境が優れた家はヒートショックの危険を減らすだけでなく、もっと幅広い面から家族の健康と豊かな暮らしを下支えしているのです。

OMソーラーが作り出すのは、四季の変化をほどよく感じられながら、安心と心地よさを提供する温熱環境です。

OM羅針盤」の第二回目ではそんな暮らしの様々なシーンを紹介しています。(※3)

 

 

 

理想的な温熱環境のためには変化も必要

温熱環境を考える上で、危険な状況を生み出さないための「最低のライン」を守ることが必要ということはご理解いただけたと思いますが、24時間を快適に過ごすためには、外気温の変化や食事、安静、睡眠など、暮らしの様々な場面を想定して、室温も適切に変化させることが好ましいと考えます。

 

1日の中で外気温が変化するように、私たち自身の体温も、起床後、徐々に上昇して、夕方ごろピークとなり、その後、徐々に低下します。

そして、体温が下がると眠くなり、就寝後は明け方に体温を上げながら目覚めを迎えるのが人体のメカニズムです。

こうしたメカニズムを考えると、例えば冬の夜に心地よい睡眠に入るためには、寝る直前まで暖房が目いっぱい効いている状態で過ごすよりは、就寝前から緩やかに室温を下げていくことが望ましく、明け方は体温上昇にあわせて室温も緩やかに上げていくことが理想です。

 

さらに、季節の変化にあわせて室温のベースを上下させたり、夜勤や早朝勤務などの生活時間に応じて室温変化の時間帯を前後させることで、一年を通した豊かな温熱環境が実現すると考えます。

また、このように室温を緩やかな変化をつけてコントロールすることは、暖冷房エネルギーの消費を必要最小限に抑えることにもつながります。

 

私たちはこうした最適な温熱環境を、自然エネルギーを最大限に利用して実現させることが、家づくりを提案する立場の役目と考えています。

そのために、今後も医学的な見地や、健康、安眠といった見地からも研究を重ね、製品の開発や制御システムの構築に取り組んでいきます。

2018年はこれらについての発表を計画していますので、どうぞご期待ください。

 

 

●OMソーラー健康調査
http://omsolar.jp/about/helth_20150422.html
国土交通省の報道発表
http://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000185.html
●OM羅針盤 第二回
https://omsolar.jp/blog/detail.php?id=921

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