OM環境設計ラボ OMソーラー株式会社

環境シミュレーションを活用し、建築性能の分析、快適、省エネを追求します。

断熱仕様決定のタイミングを早め、設計フローを変える

2018年11月01日 5つのアプローチ

環境設計ラボでは、設計の配置や窓の大きさ、位置、断熱の仕様を基本設計の段階から検討議題に挙げ、早い段階で性能値、できれば材料と厚みまで根拠を持って決定することをご提案します。

◆その効果は?
温熱環境を見据えて配置計画の段階から納まりや開口部の採り方を調整することができ、手戻りの少ない設計フローが実現します。

<効果の概要図>
下図はBIMの導入に関する工程とマンパワー、コストの関係を示すマクレミー曲線です。変更コストが少ない設計初期にマンパワーを投入することで、効果を得られるというものです。環境シミュレーションについても同様のことが言えます。

断熱仕様決定のタイミングを早め、設計フローを変える

設計者の業務は、施主との折衝、法規申請、施工者との調整、補助金申請と範囲が広く、ますます業務量が膨大になっています。そのような中で、温熱環境の計算は省エネルギー法やその他の必須の申請の前に、設計がほぼ確定した段階で行われることが多いのが現状です。
一方で居住空間における「温熱環境」は年々重要度を増しています。暑さ寒さは竣工後まずはじめのクレームになったり、建物の中で熱中症になる高齢者がおられたりする事実から、快適な温熱環境を改めて建築の基本的な性能、インフラと捉える必要があります。言い換えると、配置、窓、仕様といった物理的条件は変えられないので、温熱環境を予測しておかないと建物の竣工後では暑さ寒さに対する根本的な措置を講じることには限界があります。
建物の環境を予測し調えたうえでは、付属部材といった住まい方で対応できる箇所を抽出し、設計に住まい手が工夫できる準備を取り入れることができます。

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快適と省エネをシミュレーション

2018年10月31日 5つのアプローチ

何かモノを買う時、試食、試着、試乗、などで試す・体験するといったことは当たり前になってきています。一方、建物は建築前に"試住"することはできません。下図は建築前の重視度と入居後の満足度の比較です。この中で冬の暖かさについては、間取りや耐震性能の次に重視されているにも関わらず、実際住んでからの満足度は大きく順位を下げています。夏の涼しさも同様で、これは一般のお客さまには予測ができずまた体験ができなかったことによる差だと考えます。
冬の暖かさや夏の涼しさを確認する指標として外皮性能がありますが、環境設計ラボで使用しているシミュレーションは、非定常方式と呼ばれるもので、刻々と変化する温度をアメダスデータや日照データから計算し、室温の移り変わりを示します。また、隣地の建物を入力することでより正確に各部屋の温度状況を計算できます。その際、過剰に建物性能を高めてしまうのも費用の点から避けたいことです。性能と費用の最適なバランスを考えて、ご検討中の建物の心地を探るためにも温熱シミュレーションを活用してはいかがでしょう。
環境設計ラボでは、温熱シミュレーションを活用して具体的にどのようなことが予測できるのかを今後ご紹介していきます。

快適と省エネをシミュレーション

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サーモカメラでみる着衣量

2018年10月30日 計測

熱的な快適性を生む裏には、気温や湿度、気流、放射という「環境側」と人体自身が持つ温熱生理という「人間側」の応答があります。温熱生理は人体からの熱収支(代謝)と着衣量があり、環境の変化に応じて衣服の量や材質を変えることは快適に調整する方法のひとつです。
例えば室温20℃で着衣量1.0clo※でやや肌寒く感じる場合、着衣量を1.5cloに増やすのも、室温を23℃まで上げるのもどちらの方法でも快適と感じる環境に近づけることができます。
今回、生地や肌の露出、体との密着度によって衣服の表面からの熱の逃げを撮影し、着衣量と照らし合わせてみました。※着衣量とは
衣服が持つ断熱性能で単位をclo(クロ)で表します。1clo=0.155m2

サーモカメラで見る着衣量

寝袋(3clo)を着たモデルと冬季暖房の効いた部屋での普段着(1.2clo)と並んでみました。着衣から熱が逃げている箇所がひと目でわかります。
また、上段中央の1cloのモデルと比較して、やや着衣量の高いモデル1.2cloを比較すると、1.2cloモデルは袖の部分が赤みを帯びていることから、衣類と肌が密着しているため腕からも熱が逃げていることが分かります。

サーモカメラで見る着衣量

快適性はその空間の空気温度だけでなく、そこに滞在する人の温度の感じ方でも左右されます。
お客さまと打ち合わせをする時に室内では薄着か厚着か、暑がり・寒がりなどで設定室温を高め、低めに考え、建物や設備の性能を考えるのも快適性をよりよくする手段だと考えます。

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