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茨城県水戸市・松土さん
2006年12月築
包み隠さず正直で、
年を経る毎に豊かさを重ねていく。
そんな家を求め続けて、
今、ここにこうして暮らしています。
設計ファイル
生活する上での動線を考慮して間取りを配置。

OMソーラーの冊子に掲載されている平面図を穴のあくほど読んで研究し尽くしたという松土さん。生活する上での動線を考えて間取りをつくり込んでいきました。洗濯、乾燥、収納、キッチンと一直線に動線を収め、無駄な動きを省きました。
また玄関から勝手口に抜ける納戸は、最初は壁で仕切られていましたが、工事の途中で急遽扉に換えました。結果、行き止まりをつくらず納戸を介して回れる動線となり、生活する上とても便利なのだとか。「こうした小回りの利く対応は地域工務店ならでは良さ」と松土さん。また玄関に玉利石を敷いたのは工務店の提案で、靴先が縁に当たらないようにという機能性とデザイン性の両面を考慮して導入されています。

建物概要
- フォルクスA 2階建て
- 敷地面積:219平米
- 延床面積:121.0平米(1階70.0平米 2階51.0平米)
風呂・洗面・クローゼット・キッチンを一直線に並べ動作を省力化。

【左】靴先が縁に当たらないよう工夫された玄関の玉利石。
【右】2階寝室に置かれたダーツで遊ぶ文也くん。
家づくりと暮らし
築百年の祖父の家のように、長い年月と好みに応えられる家がお手本でした。
2階の子ども室は、ミニ卓球台やピアノ、バイオリン等が置かれた多目的な空間。
水戸市内の静かな住宅地。その一画に松土さんご家族がOMソーラーのシステム住宅・フォルクスAを建てたのは、2006年暮れのことでした。松土さんが最初に家づくりを計画したのは1998年のことだといいますから、家が完成するまで8年を要したことになります。
松土さんは仕事の都合で水戸市内に引っ越しをしてすぐ、家づくりを考え始めました。そこでまずは土地を取得し、それからゆっくりと「どんな家を建てるかを考えればいい」と、構えていたのだそうです。
住宅展示場やハウスメーカーなどを見て回る中で、松土さんが家を選ぶ上で注意を払っていたことがありました。それは、「昔、友人の新築マンションに泊まりに行って気分が悪くなったことがあるんです。それからは自分の家を建てる時には素材には十分気をつけなければと思っていました」というもの。
オレンジ色のOMソーラー立ち下りダクトが部屋の雰囲気に調和。
また、「祖父が山梨の築百年ぐらいの農家に住んでいるのですが、風格があってとても印象に残る家なのです」というご主人の俊哉さんには、おじいさんの家のように、“長い年月と好みに応えられる家”というのがお手本として頭の中にありました。
ところが展示場に並ぶモデルハウスはどれも過剰な装飾や不必要と思われる設備が施されていたりと、シンプルな家づくりを望んでいた松土さんには違和感を覚えるものばかり。「自分たちが望んでいるものは住宅メーカーが提供する家の中では見つけられない」と、落胆して一度は家づくりを諦めかけたそうですが、そんな時にある出会いがありました。書店で偶然手にした雑誌に載っていたOMソーラーの家との出会いです。
松土さんが目にしたのはOMソーラーの家の中でも単純明快な構造・設計ルールを持つフォルクスAで、「木のしつらえなどが面白そう」と、どこか心惹かれるものを感じてさっそく資料を請求。送られてきた冊子に掲載されたその家は、「すっきりとした外観と過剰な装飾のない家」で、松土さんが思い描いていた通りの家でした。
さらに俊哉さんは小学生の頃、親戚の家に導入された当時最新式の太陽熱温水器に感動したことをきっかけに、太陽熱を使って色違いの容器で温度上昇の差を調べるという、熱利用の原点ともいえる自由研究をして表彰された経験があるといい、その実体験から「こんなにすごいチカラのある太陽熱を使わないのはもったいない」とずっと思っていたとのこと。そうした経験もOMに興味を持った一因だったのでは、と振り返ります。
「穴のあくほど送られてきた冊子を読んで、家はOMソーラーで建てよう」と、ほぼ心は固まりました。ところが、「子どもの妊娠が分かって、家づくりどころではなくなった」と予期せぬ出来事に、家づくりは再び一旦休止に。
松土さんが再度家づくりに向かったのは、生まれた文也くんが保育園に行くようになってからのことでした。小学校入学を見据え、改めて家づくりを考え始めたのです。そうなると先に取得した土地は通園通学には不便で、しかも「OMの家を建てる」と心を決めていた松土さんには、「南北に長いその土地はOMを効率よく生かせないのではないか」との心配もありました。そこで改めて集熱面が大きく取れる土地を探し始め、幸い地理的にも地形的にも条件に合う土地が見つかり、やっとのことで念願のフォルクスAを建てることになったのです。

【左】1階西側に設けられた和室。アンティークな卓袱台が映える。
【中】日射遮蔽としても食料としても活躍するゴーヤを栽培中。
【右】緑が美しい玄関に続くアプローチ。
フォルクスには家づくりの中に遊びの楽しさがある。
動線を考えてつくられた真由美さんこだわりのキッチン。
長い道のりでした。けれども自分たちがどういう家を望んでいたのか、どういう暮らしを望んでいたのかを、じっくりと見つめるための貴重な時間でもありました。
構造材が仕上げ材を兼ねるフォルクスAは、素材に対する安心感を与えてくれました。過剰な装飾や設備などを省く「実質価値の高い家づくり」は、松土さんの家づくりに対する価値観とぴったりと一致していました。
また、太陽熱を使った床暖房システムは、「子どもの頃から自然のエネルギーを使わないのはもったいない」と思っていた俊哉さんにとっても、奄美大島出身で寒さに弱い奥様の真由美さんにとっても、願ってもないシステムだったといいます。
つくりつけの棚の奥は俊哉さん手づくりの作業台。
間取りについては送られてきた資料に掲載されていた平面図を参考に、イメージを膨らませていきました。「目をつぶって自分が家の中でどう動くかを考えたんです」と、松土さんの生活に即した、松土さんご家族のための間取りを練り込んでいきました。
「フォルクスAには構造や設計に制約があります。そうするとみな同じような家になりそうなものなのに、一つとして同じ家がない。それって何だろうと考えてみましたが、決められた枠があるからこそ、つくることを楽しめるのではないかと思ったんです。僕らもそうでしたが、枠の中で精一杯思いを生かそうとすると、遊び心がないとできない。フォルクスAにはそういう遊びの楽しさがあるんじゃないでしょうか。」
計画から紆余曲折を経て辿り着いた松土さんのフォルクスAは、家づくりの楽しさをたっぷりと体験させてくれました。そして家族はもちろん文也くんのお友だちもこの家が大好きだといい、回遊式の部屋をぐるぐると走り回ったり、吹き抜けを使って2階から紙飛行機を飛ばしたりと、部屋を縦横に使いながら元気一杯に楽しんで遊んでいます。
完成から2年。暮らしが落ち着いた現在は、「植栽は家の一部ですが、街の一部でもあると思うんです。家の前を通る人にも楽しんでもらえるような庭づくりがしたいですね」と、庭づくりを楽しんでいる松土さん。家とともに日々成長していく色とりどりの植栽が、あふれるほどの暮らしの楽しさを、多彩なことばで語りかけているようです。

作業台で、趣味の「ガラス玉」をつくる俊哉さん。

【左】2階から美しい庭を見下ろす。
【右】街の一部でもある松土邸の庭。近所の人との会話もはずむ。
