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静岡県静岡市・大山さん
2003年10月築
家族みんなが仲良く、気持ち良く暮らしたい。
その思いが、家づくりの原動力です。
設計ファイル
難しい条件の土地も空間に変化をつけて採光、通風を確保。

間口が狭く、東西に細長い敷地に建つ大山さんのOMの家。問題は採光、通風、そして南北両隣からの目隠しの点でした。そこで、2階の中央南側に外部吹き抜けとした中ベランダを配置し、採光と通風を確保しました。視線を伸ばす役割も果たしています。
道路に面した東側部分は下を駐車場とし、その上にお隣より少し張り出してリビングを設け、できるだけ光に触れられるよう工夫しました。凹凸のある複雑な形は鉄骨造ならではのスペース構成となっています。
また、男の子二人ということで、音の問題が生じないよう2階の床にコンクリートを施工し、そのコンクリートを生かして東側部分だけ少し厚めに塗り、そこに趣味である音響装置を置いて効果を狙いました。
収納はリビングの椅子の下や壁の上部、また階段部分など、デッドスペースを徹底活用しています。
【左】2階西側寝室から中ベランダを通して居間を望む。視線も通風も伸びていく。
【右】階段下に設けた書庫。スペースを余すところなく活用している。
建物概要
- 鉄骨3階建て
- 敷地面積:148.76m2
- 延床面積:172.12m2(1F:76.89m2、2F:73.76m2、3F:21.47m2)

静岡県静岡市・大山さんの家平面図(クリックで拡大:88KB)
家づくりと暮らし
OMソーラーの家って、見れば見るほど想像力がかき立てられて行くんです。
「借家のままでいいよ」。家づくりを夢見て熱心に住宅雑誌に目を通す奥様に対し、そういい続けるご主人。大山さんご夫妻の家づくりは当初、その思いにかなりの温度差がありました。しかしそのご主人がOMソーラーの家と出会うことによって、少しずつ変化を見せ始めました。
奥様が家づくりを計画していたのは、JR静岡駅から北へ車で十数分のところにある住宅地の一画。奥様のお母さまが一人暮らしをされていた土地でした。お母さまの家は、周囲の家が次々と新しく建て替えられていく中で、日当たりが悪く、老朽化も進んでいました。「間口が狭くて東西に細長く、南北両サイドを挟まれているので、家を建てるには問題の多い土地でした」とご主人。
家々に挟まれた45坪ほどの細長い敷地に建つ大山邸。採光、通風の確保を含め、間取りの自由度がこの家づくりの決め手となった。
反対の理由は敷地条件だけではありません。地盤が緩いこの土地に建てるのなら鉄骨造にする必要があるけれど、鉄骨造にはあまりよいイメージを持っていなかったこと。古民家の雰囲気が好きで木造に憧れているものの、一方で木造は自然破壊につながるのではとの相反する思いを抱いていたこと。以前にも同居を前提に、ハウスメーカーの家を建てることを検討したけれど、結局、間取りの面で自由度がなく、家族みんなの希望を叶えることができずに立ち消えになったこと、等々。
いくつもの気になる理由から首を縦に振らなかったご主人でしたが、奥様に引っ張られるように出かけたOMソーラーの見学会、この体験がご主人の何かに火を点けたのでした。
「冬でしたけど、家に入ったら暖かくて、“OMなら難しい条件の土地でもなんとかいけるかも”とピンときましたいうご主人。その後、何度も何度も見学会に足を運ぶことに。
OMを通じて知り合った多くの友人から贈られたお気に入りの古家具が新築の家の中にしっくりと馴染む。心のこもった贈り物に囲まれた居間。
「OMソーラーの家って、見れば見るほど『こういうこともできるのか』とか、『自分の家ならここはこうしたい』とか、どんどん想像力がかき立てられていくんです」。
見学会に顔を出すうち、工務店が主催する“近くの山の木を見に行くツアー”に誘われ参加、そこで国産の木を使うことにより林業が盛んになり、山を守ることにつながるということを学びました。
「カンカン響くような建物」という鉄骨造に対するイメージも、実際に施工例を見せてもらい、住んでいる人に直接住み心地を聞く中で払拭することができました。
3階に設けた物置用のロフトは子どもたちにとって絶好の遊び場。
そしてご主人を決定的に家づくりに向かわせたのは、「OMならば設計の自由度があるから、家族のみんなが納得いく間取りができる」との思いでした。こうして、「やるなら徹底的にやるタイプ」というご主人のOMソーラーの家づくりが始まったのです。
僕たちは本当に贅沢な家づくりをしているんだな。
工事中に通りかかった人が「ビルでも建つのかしら?」と驚いたほど、頑丈に組まれた鉄骨造の大山さんのOMソーラーの家。鉄骨造とはいえ、内部は、大井川の山小屋で知り合われたというご夫妻ゆかりの地、大井川の材がふんだんに使われています。また梁にはゆったりと曲がった太い古材が用いられるなど、木の香りに包まれた温もりのある空間が広がっています。
1階は、ミニキッチンがついた西側の和室がお母さまのためのスペース。そして家族共有の浴室、洗面所と多目的の和室。2階は西側にご夫妻の寝室、東側に囲炉裏のあるリビング、その間に外部吹き抜けの中ベランダを配置。3階は子ども部屋とバルコニー、ロフトという構成になっています。
いちばん頭を悩ませた採光の問題も、ご主人自ら家の模型を作り、懐中電灯を当てながら、「生まれてこのかた、こんなにも頭を使ったことはありませんでしたよ(笑)」と振り返るほど、最も効果的な採光を考えながらプランを練っていきました。

【左】3階の子ども部屋とロフト。OMのハンドリングボックスは隠さず、まるで秘密基地のよう。自由で楽しい空間に。
【右】明るさと風を呼び込む外部吹き抜けの中ベランダ。明かりをより反射させるよう内部は銀色の塗装を施す。
10ヶ月という長い工期の間、ご主人は時間の許す限り現場に通いました。そこで目にしたのが、職人さんたちの磨きあげられた技。「後継者がいないので、あと10年もしたらこういう家をつくる人がだんだんいなくなるというお話を聞いて、僕たちは本当に贅沢な家づくりをしているのだなと思いました」と感慨深げの大山さん。
職人さんの仕事ぶりに触発されて、ご自身も建具を造ったり、2階寝室の壁を丸一日かけて家族みんなで塗装を施したり、積極的に家づくりに参加しました。
家の所々には、お母さまの家を解体した時に取っておいた廊下の板材や床柱、鉄平石などが、新しい家の一部として使われています。また、インターネットやオークションを駆使して探し出した備品や、流木を加工して作ったハンガーなど、一つ一つが住人の思いの深さや美意識を映し出しています。

【左】玄関の天井には古い民家で使われていた蚕棚が、三和土にはお母さまの家で使われていた鉄平石が埋め込まれている。
【右】家族みんなで塗った2階寝室の壁は、家づくりの良い思い出。下方の建具はご主人手作りのもの。
2階の居間には現代風にアレンジされた囲炉裏が設けられ、生活の中心の場となる。囲炉裏を囲みながらの団欒は心安らぐ一時。手前に移る「自在鉤」はご主人が流木を拾い手作りしたもの。
「家づくりって子育てと似ていますね。悩んだり、勉強したり、手を掛ければ掛けるほど愛着が生まれてくる」と大山さん。振り返れば、ご主人のお父さまもモノづくりが大好きな人だったとか。
自分たちの家が出来上がっていくのを、しっかりとその目に焼き付けてきた二人の息子さんも、家づくりに真剣に立ち向かうお父さんの背中から、たくさんのことを学び、受け継いでいくことでしょう。