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千葉県船橋市・小林さん
2003年9月築
おいしいお茶、あたたかな雰囲気、安らかに過ぎていく時間。
太陽の温もりと一緒に、おもてなし。
設計ファイル
住居としてだけでなく、お客さまにとっても居心地の良い空間に。

小林さんの家は、住居としてだけでなく、お店に来てくれるお客さまにとっても居心地の良い空間を、と誕生したOMソーラーのあるカフェ兼自宅です。お店側に立下りダクトを下ろすことで、室内のアクセントにもなり、暖かさもダクトの周辺が特に暖かとお客さまに好評なのだとか。またご自宅部分とお店とのつながりは、段差をなくして、フラットに。
お店は北側に位置するので、暗くならないよう大きな窓を設け、窓の外にシマトネリコを植えて、外からの視線を防ぐとともに、中からはそよそよと葉の揺れる様子を楽しむことができます。

【左】段差をなくしフラットにつなげたカフェと自宅。心地よい風が通る。
【右】目隠し用と、観賞用にとカフェの外に植えられたシマトネリコ。
住居部分は居間の上を吹き抜けにして、暖かな空気の通り道に。2階の北側に設けられた浴室と洗面所は、入り口廊下部分を鍵型にすることで、扉をつけなくても視線をさえぎり、また暖かさも呼び入れることが出来ます。

【左】2階の洗面所から廊下を見る。鍵型に奥まった所にあるため扉は設けていないという。
【右】2階の浴室。北東側に位置するため暗くなりがちだが、窓を大きく取り明るく開放的に。
建物概要
- 在来木造2階建て
- 敷地面積:102.36m2
- 延床面積:107.85m2
(1F:58.38m2、2F:49.47m2)
家づくりと暮らし
「居心地がいいわ」と、お客さまに言われるのが何より嬉しいんです。
千葉県船橋市内の閑静な住宅地の一画。玄関横で揺れるかき氷のノレンと手書きのメニューの看板から、初めてそこがお店だと気づく小さなカフェがあります。店内は四人掛けのテーブルが三つ。家庭的で温かな雰囲気の漂うこのカフェのオーナーは、小林さん(奥様)です。
お父さまに代わって小林さん(右)と家を支える娘さん(左)。見よう見まねで手入れを続けていくうちに愛着も生まれてきたという。
小林さんがこの地にお店を開いたのは、もう25年以上も前のことです。自分のお店を持つのが長年の夢だったという小林さんは、その夢を叶えるべく、結婚して最初に建てた大きな庭のある家から現在の地へ移り、お店と住宅を兼ねた家を建てられました。
「その頃はコンビニもそれほどない時代でね。こんな小さなお店でも、お客さまで大賑わいだったの」と言う小林さん。カフェは娘さん(長女)にも手伝ってもらい、またご主人もお勤めの傍ら、こまめにお店の手入れや修繕など縁の下の力持ちとなって、小林さんの夢を応援してくれたのだといいます。
ところが7年前、そのご主人が亡くなられてからというもの、まるで世話をする人がいなくなったことを悲しむかのように、床はブカブカと軋み始め、水周りの具合も悪くなるなど、家が悲鳴を上げ始めたのです。「もう怖くて、住んでいられないんです」と小林さん。
そうしたある日のこと、すでにご結婚されていた娘さんが、実家である小林さんの家から数軒先の所で「OMソーラーの家」の見学会のノボリを見つけます。もともと食品や化粧品など、「自然モノが大好き」、というご家族。そのノボリを見た娘さんは、「OMソーラーって初めて聞くけど、『ソーラー』だから、太陽を利用している家でしょう。ちょっと面白そうだから覗いて見ようよ」とお母さまの小林さんを誘って見学会に出かけたのです。
庭木の手入れも大変だけど、世話をすれば木々もその愛情にきちんと応えてくれる。
初めて体験するOMソーラーの家。冬だったこともあり、その穏やかな暖かさを心地よく感じるとともに、なにより「空気が全然違う」ことに、とても驚いたといいます。なぜなら、それまで小林さんの家で使っていたのはガスストーブで、「ずっと点けていると、目がチカチカして、頭も痛くなってくるので、お店にお客さまがいなくなると、すぐにストーブを切っていた」という状況だったそう。閉め切った室内でガスを使い続けた時の空気の淀みに比べると、OMはなんと空気が爽やかなことか。
その空気の違いに衝撃を受けた娘さん。小林さんに「建て替えるのならOMで」と薦めるのです。そして見学会ののちも、その会場となったご近所の家を訪れ、熱心に実際の住み心地を伺います。また、自身もOMの家に住んでいるという工務店の担当者からも、実感を伴ったOMソーラーの家について説明を聞いたりするうちに、気持ちはどんどんOMへ傾いていったのです。
「やはり実際にそこに住まわれている方の話が、いちばん胸に響きますね。工務店さんともお茶を飲みながらお互い打ち解けてお話しができました。その中から信頼関係が築けて、こちらの希望をざっくばらんに伝えられたことが、結局OMに決めたことにつながったと思います。」
お客さまを拝見していると、靴を脱いだほうがリラックスされるみたい。
2003年9月、OMソーラーの新しいカフェ兼自宅が完成。カラマツ材の床が放つやさしさとOMの温もりで、「居心地がいいわ」とお客さまが言ってくれるのが、何より嬉しいという小林さん。以前のお店はコンクリート床の土足使用だったことから、新しいお店も最初は土足で計画していました。しかし自宅とお店とのつながりに段差があることにずっと不便を感じていたことと、今回はせっかくOMソーラーを導入するのだからと、お店の部分も靴を脱いで上がってもらうスタイルになったのです。
お客さまは昔からの常連さんやご近所の方、また近くの学校に通う学生さんが多いという。おいしいお茶とアットホームな雰囲気を楽しみに。
「初めて来たお客さまは、ここで靴を脱ぐんですか?」と聞かれるんですが、「ええ、お願いします」と、靴を脱いで上がっていただくんです。でも拝見していると靴を脱いだほうがリラックスされるみたいですよ」と笑う小林さん。
今では昔ほどてんてこまいの忙しさはありませんが、それでもおいしいお茶とアットホームな雰囲気、安らかな時間、そしておしゃべりを楽しみにやってくるお客さまをおもてなしすることが、いちばんの生き甲斐になっているそうです。
ハワイが大好きという娘さんの部屋はハワイをテーマに飾りつけをされている。
一時期は、「もう歳だしお店をたたもうかしら」と考えたこともあったといいます。しかしその小林さんを「まだまだ十分できるわよ」と励まし続けてきたのは、もう一人の娘さん(次女)でした。彼女は看板も手書きで製作し、樋(とい)の修理や庭木の枝切り、床磨きまで、忙しいお勤めの合間を縫って何でもこなしてしまいます。開店当初から使っている椅子も、お父さまがそうしていたように、シートを張り替えたのだといいます。
「子供の頃、父がそうやってお店や家の修理や手入れをしていたのを見ていましたから。見よう見まねですけど、自分でやるのが当たり前だと思って」と、娘さん。今ではお父さまに代わって小林さんを支え続けています。
小林さんのカフェ兼自宅のそれまでの歴史、特にお父さまが亡くなられてからの状況などを伺うと、建物は愛着を持って世話をすれば、きちんとそれに応えてくれるし、またその逆もあるのだということを教えられます。

【左】階段に貼られたテープは階段の段差を明瞭にするためのもの。お母さまへの配慮。
【右】将来用途が決まってから仕上げる予定の2階の納戸。
自分たちだけでなく、「お客さまにも心地よい空間を」と誕生したOMソーラーのあるカフェ兼自宅。そしてそれを愛情こめて支え続けるご家族。家は単なる「モノ」ではなく、歴史をつなぎ、愛情を育みながらそこで暮らす人と、ともに生きているのです。
太陽の温もりのする街角の小さなカフェ。そこではおいしいお茶とあたたかな笑顔で、お客さまをおもてなししています。

