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岡山県玉野市・飯塚さん
2009年1月築
海を眺めながら暮らしています。
故郷の海へ、その先の大海へ、
どこまでもつながっていく海。
その大きさが、安らぎを与えてくれるのです。
設計ファイル
玄関のほかにも直接2階へ行ける外階段と1階教室への入り口を確保。
1階に奥様の仕事場となる英語教室と予備室の和室を設け、2階にリビングダイニングと寝室、そして小屋裏収納のロフトという三層構造の飯塚さんのOMソーラーの家。
室内への入り口は、西側に家族が使う玄関、東側に教室の生徒さんたちが出入りする入り口と2箇所設けています。また、外から直接2階へ出入りできるよう、西側には外階段が架けられています。
部屋の使い方が制限されるので、ソファとベッドは置かない主義という飯塚さん。昔ながらの日本の暮らしがそうだったように、布団を敷けば寝室に、仕舞えば居間にと、部屋をフレキシブルに広く使っています。

奥様の仕事場となる1階の英語教室。

南北両方に通じる玄関前のポーチ。
建物概要
- 建物概要:在来木造2階建て
- 敷地面積:581.29平米
- 延床面積:112.61平米(1階54.65平米 2階57.96平米)
家づくりと暮らし
なにを見て暮らすかは、大切なこと。
私たちは、海を見ながら暮らしたいと願っていました。
外から直接2階のリビングへと通じる外階段。
「毎日なにを見て暮らすかって、すごく大切なことだとずっと思っていました」。
そう言った奥様の瞳の先には、穏やかな瀬戸内の海が広がっています。飯塚さんご家族が暮らすのは、岡山県の南部にある玉野市。瀬戸内海国立公園の海が見える丘の上に建つOMソーラーの家です。
神奈川県生まれで湘南の海を見て育ったご主人と奥様は、ともに海が大好き。大学もそれぞれ海洋大学へ進み、ご結婚後はご主人が造船関係の会社に就職したことから、玉野市にある社宅で暮らすようになりました。
社宅は10年ほどで退居を促されるそうで、家づくりは、家を建てる5年ほど前から考え始めたといいます。OMソーラーのことは、それ以前から住宅雑誌の広告を見て知っていたという奥様。「学生時代から住宅展示場が好きでたくさん見てきましたけど、OMの家はそれまで見たどの家とも違う。何より自然のエネルギーを無駄にしないで上手に使っているところがいい」と感じ、次第にOMの家に興味を持つようになったそうです。
そうした下地がありましたので、家づくりを考え始めた時、真っ先に頭に浮かんだのは、やはりOMソーラーの家でした。
2003年秋、飯塚さんは近所で開催された住宅フェアにOMの家があるのを知り、家族で出かけました。「寒い日でしたけど、家の中がほんのりと暖かくて、いいなと思いました」。実際に体感してさらに印象を強くしますが、その時はまだ退居期限まで猶予があり、すぐにOMの家を建てるまでには至りませんでした。そして予定外だった数年間の海外赴任を挟み、帰国した時にはいよいよ期限が迫っていました。
ベランダの手摺りは景色を妨げないような太さに。
家づくりにあたっては、海が大好きだからと「海が見える場所であること」を第一条件に掲げた飯塚さん。なにより希望に合う土地を見つけなければなりません。それも単に「海が見える」だけでなく、歩いて行けるビーチがあること、高い場所にあること、また学区まで条件に加えていくとなると、なかなか見つかりません。
複数の業者に依頼してようやく巡り合ったのが、この土地でした。ビーチにも近く、高台になっているこの土地を、飯塚さんはひと目で気に入ってしまいました。ところが業者と土地の所有者との交渉がうまくまとまりません。他の業者にも斡旋を依頼してみたのですが、やはり成立しません。それでも諦め切れずにいた飯塚さんのもとに折良くいたのが、以前住宅フェアで知り合ったOMソーラーの会員工務店からの見学会の案内だったのです。
祖父から贈られた木像が飾られた1階和室。
飯塚さんは見学会に足を運び、その後も工務店の見学会に参加して建物を見ていく中で、土地の契約交渉が難航している状況を打ち明けます。すると工務店社長はすぐにその土地に足を運び、飯塚さんにこう言いました。「とてもいい土地ですよ」。
地元で古くから家づくりに携わっている工務店社長は、住む人がなく家や土地は荒れ放題ではあるものの、周囲に大きな石積みの石垣が築かれていることや、玄関アプローチに庭や池があることなどから、先人が住んでいたという安心感、そして所有者のこの土地への思い入れを感じ取っていたのです。
「交渉がまとまらず、不安や戸惑いを抱えている中、社長さんは私たちの気持ちを理解してくれて、本当に嬉しかった」と飯塚さん。飯塚さんの希望をなんとかして叶えたいという工務店の地道な交渉により、絡まった糸口もほぐれて契約は無事に成立。
2009年1月、願いどおり瀬戸内海が見晴らせる場所に、飯塚さんのOMソーラーの家が完成しました。

アンティーク家具がアクセントとなる2階の和室。

海の景色を存分に楽しむことができる大きな窓の2階リビング。
OMの暖かい空気が出てきた時には感動しました。
薪を得たことで急遽導入した薪ストーブ。
海水浴場への入り口の前、石垣の坂道を登ったところにある飯塚さんのOMソーラーの家。南隣に土地があるため、そこに家が建っても眺望が確保できるよう、また社宅にいた時から英語教室を開いていた奥様が、自宅に教室を設けたいとの希望があったことから、1階を教室にして、2階にリビングを設けました。
家族の主な生活の場である2階へは、OMソーラーの立ち下がりダクトから直接暖かい空気を吹き出すことができる切り替えの工夫がされています。「ここから暖かい空気が出てきた時は感動しました」というのは、「ランニングコストが抑えられるのがいい」とOM導入を決めたご主人。建築前に鬱蒼と茂っていた木を切ったら薪がたくさんでき、もったいないからと急遽薪ストーブを置くことになった経緯もあり、薪割りは今ではご主人の重要な仕事なのだといいます。
また奥様も、生ゴミを混ぜて土づくりをした畑から、毎日新鮮な野菜が収穫できて食卓を豊かにしてくれるだけでなく、植えた覚えのないカボチャが育って驚かされるなど、自然の営みには無駄がないことを教えられるといいます。
海の景色が眺められる東側の浴室。
「海が見えること」にこだわって家づくりに臨んだ飯塚さん。こだわりは家の細部にもありました。外階段の位置、風呂場の位置、床の高さ、工務店とは「語り尽くせないほど」のやりとりがありました。「1つの要望に対し10ぐらいの検討をしていただいて、申し訳ないほどでした」と、当時を振り返りながら苦笑する飯塚さん。そうした真剣な意見交換があったからこそ、住まい手もつくり手も、ともに満足のいく家が完成したのです。
西側から海が見えるのは初めから分かっていましたが、「ひょっとしたら」と淡い期待を抱いていた東側からも、小豆島や豊島のある海が見えた時には、「感動しました」とご主人。この眺めが楽しめる浴室は、ご主人の一番のお気に入り。春には桜も景色に彩りを添えるそうで、想像していた以上の眺めを得ることができました。
寝室兼居間として利用する2階和室。左手前は、立ち下がりダクトから直接空気を送る吹き出し口。
「何を見て暮らすかというのは、大事なこと」という飯塚さん。ゆったりとした瀬戸内の海の眺めは、心の安らぎであり栄養でもあります。目の前に広がる海は、故郷の海へ、そしてその先の大海へとつながっています。
大好きな海の景色を眺めながら暮らす飯塚さんの穏やかな日々も、これから先もずっと続いていくでしょう。

玄関脇には海にちなんだオブジェが飾られている。

キッチンからの眺め。右側は、外へと通じる階段。
