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大阪府松原市・青島さん

2000年7月築

住んでいる人が「OMはいい」と言うのだから、間違いないと思いました。

設計ファイル

階段を、空気と光の通り道に。

写真:大阪府松原市・青島邸

木造3階建ての青島さんのOMソーラーの家は、二世帯住宅です。ライフスタイルの違いを尊重し、プライバシーを守るために、1階のお母さ まの和室と居間の間に壁を設け、縁側のある廊下も、引き込み戸を設けることで仕切ることが可能になっています。

階段は、上下間を結ぶ本来の役割とともに、冬はOMソーラーによる暖かい空気を運び、また3階から明るさを家の中に取り入れるなど、空気と光の通り道としての役割も果たします。

また、変形した敷地の少し飛び出した部分に洗面・浴室を配置。隣家と接近していることから、採光は天窓を設けることで、十分な明るさを確保しています。

写真:階段・洗面所 写真:二種類の引き戸
【左】階段は上下を繋ぐとともに、空気と光の通り道となる。
【中左】洗面所と浴室に十分な明るさを取り込む天窓。
【中右】 玄関から居間への入り口には、2種類の引き戸が設けられている。
【右】風を通しながら視線を遮る葦の戸は、夏用のしつらえ(右)。

建物概要


大阪府松原市・青島さんの家平面図(クリックで拡大:72KB)

家づくりと暮らし

「小さな部屋がたくさん」の住みにくさから、結婚を機に、建て替えを決意。

大阪府のほぼ中央に位置する松原市。全国で5番目に大きい大塚山古墳をはじめ、数多くの古墳が残るこの地域は、古墳時代から大規模な水田の開拓がなされるなど、古くから農耕生活が営まれてきた歴史ある土地柄です。

青島さんのお宅のある辺りも、昔ながらの農家の姿を残す町。幅2メートルほどの細い路地を挟んで、旧家と新しい住宅とが混在しながら、ひしめきあうように建ち並んでいます。

写真:2階ベランダからの眺め2階ベランダより。細い道、緩やかな道なり、向かいに建つ旧家の風情が、この地域の歴史の一片を感じさせる。

青島さんご家族の歴史は、おじいさんが建てられた一軒の小さな家から始まりました。一間だけだったおじいさんの家は、家族が増えるたびに建て増しを繰り返し、家族の変化に対応してきました。「小さな部屋がたくさんある家で、とても住みにくかった」という 青島さんは、結婚を機に、家の建て替えをすることにしました。

「家を建てたいんやけど…」と、相談をもちかけたのは職場の先輩。それは、先輩がOMソーラーの家を建てたという話を耳にしたからでした。“どのような家なんだろう?”と興味をもった 青島さんは、先輩のお宅を訪ねます。

そこで青島さんは初めて、飾り気のないすっぴんの木の家「フォルクスA」を目にしました。その家のシンプルさ、さらにOMソーラーというシステムに魅了された 青島さんは、すぐにその先輩から施工した工務店を紹介してもらったのです。

「自然のエネルギーを利用しているというのがええなあと思ったし、何より実際に住んでいる人が『OMっていいよ』と言うのだから、間違いないと思いました」。こうして 青島さんは、新しい家をOMソーラーで建てることを決めたのです。

ところが青島さんのご家族は二世帯。しかも敷地が変形しているためフォルクスAのメーターモジュール対応が難しいなど、具体的な話が進むにつれて、在来工法で建てる方がよりフィットするのではないか、という結論が導き出されました。最終的には工務店からの紹介で、自身の両親の家もOMで建てられたという設計者とともに、青島さんの家のプランづくりはスタートしました。設計者と工務店、そして 青島さんと三者でのプランづくりに要した時間は半年あまり。青島さんの仕事を終えた後での打ち合わせは、時に終電車がなくなる時間まで続けられたそうです。

写真:玄関ポーチ 写真:玄関
【左】壁面から少し奥まって玄関を設けることで、玄関ポーチのスペースを確保。
【右】内部から玄関を見る。左手に見える引き戸は土間への出入口。

屋上は、緑を育てたり水遊びをしたりと、わが家の庭代わりです。

こうして完成した家は木造3階建て。梁には米松、床は無垢の唐松材や肌触りのよい檜、キッチンにも無垢の木を用いるなど、子どもの頃から家族みんなで山歩きを楽しんだというアウトドア派の青島さんの家には、自然素材がたっぷりと用いられています。「最初は外壁にロッククライミングの練習用の突起をつけようか、なんていう話もしていたのですが、防犯上よくないだろうということで諦めました」と笑う青島さん。

新しいOMソーラーの家は、1階にお母さまの部屋とリビングキッチン、2階にご夫妻の寝室と子ども部屋が二部屋と客間、3階は予備室と納戸と屋上が設けられています。

写真:キッチン・2階子供室・3階
【左】居間全体が見渡せるキッチン。無垢の木を使い、表面処理も安全な、オーストリアの「ティームセブン」製。
【中】2階南側の子ども室。柱は将来部屋を仕切る必要が生じた時のために。
【右】3階も引き戸の溝だけは準備。将来独立した部屋として利用できる。

写真:屋上空間 確保できなかった庭の代わりに設けられた、ゆったりとした屋上空間。子どもの頃に上ったという山々が遠くに見える。

屋上は1階に庭を設けるスペースを確保できなかった代わりになるもの。全体に檜のスノコが敷き込まれたこの屋上では、緑を育てたり、子どもたちが水遊びをしたり。「夏はいろんな花火も見られるんですよ」と、この屋上は奥さまお気に入りの場所です。さまざまな種類の緑が並べられています。またこの辺りの家々にはごく普通にあるという土間を新しい家にも設け、野菜づくりを趣味とするお母さまが、近くの菜園で育てた野菜を洗うのに便利なよう、流し台も設置されています。

そして、当初プランにはなかった3階建てになったことから、周辺の町並みを考え建物の高さを低く抑えたいと、天井は張らずに梁剥き出しとしました。これは、フォルクスAに魅せられてOM導入に踏み切った 青島さんとしては、一石二鳥に。さらに、狭い道路を挟んだ向かいの、昔ながらの立派な瓦屋根や植栽、お隣さんの庭の緑も借景として上手に取り込むなど、「家づくりは周囲の環境と決して無関係ではないのだ」ということを、あらためて教えられるようです。

写真:1階居間
1階居間にて。南側の大きな開口部から向かいの瓦屋根や植栽が、
西側の窓からは隣家の草木の緑が、借景として、青島さんご家族の暮らしの中に取り込まれている。

写真:夏野菜の収穫 収穫された夏野菜でいっぱいになったバケツを手に。お母さまとお孫さん。

道路幅が狭いために車を横付けすることができず、大きな資材を台車で運んだというエピソードも、今となればひとつの思い出。昔は道路ぎりぎりまで建てられていた家々も、新しく建てる場合には道路から後退させて建てなければなりません。古くから、太陽と水と風という自然の懐に抱かれながら農業によって暮らしを立ててきたという歴史のあるこの地域も、新しいルールが加わるごとに、その風景を少しずつ変化させているようです。

青島さんの家は、OMソーラーという新しい技術を導入していますが、自然の恵みを上手に活かしながら営まれる暮らしの在り方という点においては、これまでこの地域に生きてきた人々の姿に共通するものがあります。継承と変化──「温故知新」という言葉はつきなみかもしれませんが、新しい技術を少しずつ付け加えながら、歴史は未来へとつなげられていくのです。

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