Home » いろいろなOMの家 » 住まい手の声 » 三陸気候区 » 宮城県仙台市・堀さん
宮城県仙台市・堀さん
2003年5月築
これからまた、
夫婦二人だけの暮らしが始まります。
年輪と経験を土台にして、
ゆとりを楽しむ日々を、積み重ねてゆきます。
設計ファイル
勾配屋根にトップライトを設け、明るさと換気効果を得る。
真四角い箱を二段に重ね、その上に10寸勾配の切妻屋根を載せた堀さんのOMソーラーの家は、フォルクス住宅システムAです。
急勾配の屋根であることから、2階部分の明るさを確保するため、屋根の南北2ヶ所にトップライトを設けました。自然光を取り入れて明るさを室内に呼び込むと同時に、窓が2ヶ所あることで風が通り、換気効果も得られています。
室内で特にこだわったのは、キッチンです。パーテーションを設けることで、オープンキッチンでも独立したキッチンでもない、堀邸独自のキッチンが誕生しました。調理台の前にはピクチャーウィンドウをつけて景色を取り込んでいます。

【左】2階の急勾配の屋根にトップライトを設け明るさを確保。
【右】調理台の前には景色を取り込むピクチャーウィンドウを設けた。
建物概要
- フォルクスA
- 敷地面積:262.74m2
- 延床面積:110.5m2
(1F:54.5m2、2F:56m2)
家づくりと暮らし
「おもしろい」「もったいない」を実践する夫婦二人だけの暮らし。
豊かな緑に囲まれ、十寸勾配の切妻屋根を持つ堀さんの家。
杜の都・仙台市内の住宅地にある堀さんご夫妻の家。十寸勾配の切妻屋根のあるフォルクスAが、子育てを終えたご夫妻のための「二人だけで過ごす家」です。
堀さんご夫妻は、結婚以来ずっと転勤生活を続けてこられました。転勤の回数は10回を超え、短いところでは一年で引越しということもあったそうで、その住まいのほとんどは集合住宅の社宅でした。
仮の住まいである「社宅」は、「家であって、家じゃないという感覚だった」、と振り返る堀さん。釘一本打つのも遠慮したり、音など上下階に気遣ったりと、快適とは言い難い暮らしの中で、ひたすら募らせていったのは、「小さくてもいいから一戸建ての我が家がほしい」という想いでした。
そしてそれはご主人の定年が近づいてやっと、実現することになったのです。夢だった「一戸建ての我が家」は、杜の都である仙台に建てることになりました。
二人だけの暮らしを楽しむ堀さんご夫婦。
「仙台を選んだのは、現在、ここで仕事をしていること。仙台は東北最大の都市なので将来的に発展性があること。それと秋田と青森生まれの私達の実家に近いこと。秋田や青森とは違い、東北の中でも雪が少ないこと。それらすべてを考慮して決めました」
前任地の東京で初めてOMソーラーと出会い、地球温暖化の問題に興味を抱いていた堀さんは、「自然のエネルギーを利用して床暖房をする」ことに惹かれ、何度も見学会の現場に足を運んでシステムを確かめたといいます。
さらにOMソーラーが、環境に負荷をかけない地球温暖化防止に繋がる技術であることに加え、「秋田と青森という寒い土地で生まれて育った私達にとって、家の中の温度差が少ないということは大変な驚きです。暖房のある部屋以外の廊下やトイレは、すごく寒いのが当たり前でしたから」と、温度差の少ない快適な空間を生み出す点にも魅せられ、「OMソーラーで建てる」ことに決めたのだといいます。
「どう過ごすのが幸せなのか」を見つめることが大事。
自分で作った野菜は格別の味がするという。
子育てを終え定年を目前にしたご夫婦だけのOMソーラーの家は、2003年の春に完成しました。「二人だけ」の暮らしは、新婚以来のことです。
「本当に小さな家なんですよ」と謙遜する堀さんですが、大きな吹き抜けと庭に開かれた開口部が視線に伸びを生み、空間に広がりがあることで、床面積以上のゆとりを感じさせています。
ご主人は日当たりの良い庭に、小さな畑を作りました。以前、貸し農園で野菜を作った経験はありますが、自分の土地での畑はひときわ感慨深いもの。時には失敗することもあるそうですが、太陽の恵みをたっぷり受け、農薬を使わないで育てた野菜は、どれも格別の味がするとか。遊びに来たお孫さんが、畑でとれたピーマンやニンジンを美味しそうに食べるのを見るのが、ご主人にとってのいちばんの励みです。
音響に貢献しているという大きな吹き抜け。
「心置きなく好きな音楽が聴ける」と言う奥さまは、「この家は吹き抜けのあるからか、音響がすごくいいの」と本当に嬉しそう。
そしてさらに嬉しかったのが、この家が集めていた骨董家具とぴったりマッチしたこと。シンプルで、年を経るごとに味わいを増すOMの家。手の温もりを感じさせる家具が、より輝きを増して馴染みます。
そんなこともあってますます骨董収集に拍車が掛かった奥さまは、ご主人を誘い、二人でよく骨董市へ掘り出し物を探しに出かけるのだといいます。しかし決して高価な物ではなく、選択はあくまでも自分の価値観と審美眼が基準です。「これ、いくらだと思います?」と指差した帯も、「実は数百円なの」といたずらっぽい笑顔で種明かし。今では見られない色合いや織りが、とても気に入って手に入れたのだそう。

【左】骨董市で集めた着物や帯を見せる奥さま。
【右】玄関に置かれた存在感のある骨董家具。
そして家のあちこちに飾られているのが、木地師(椀や盆など日常雑器を作る職人)だった奥さまのおじいさまが使っていた道具類です。形見の品となったそれらの大切な道具類を、インテリアとして飾っています。「祖父に見守られている気がするの」といとおしそうに見つめます。
インテリアとして飾られたおじいさまの道具類。
「人の手の温もりが好き」という奥さまは、ご自分でも洋裁や編み物をこなします。自身の手で作り出す『世界でたった一つだけの物』。それをプレゼントするのが嬉しいと、奥さまお手製のベストを着たお孫さんの写真を、満足そうに見せてくれました。
「おもしろい、もったいない」がネーミングのOMの家に触発されたからでしょうか、責任を果たし終えた安堵感からでしょうか、「楽しいことを見つけるのが、今の何よりの楽しみ」という堀さんご夫妻。「おもしろい、もったいない」を暮らしの中で実践しているその姿は、バイタリティーに溢れ、生き生きと輝いて見えます。
おじいさまの作ったテーブルが置かれた1階和室。
子育てを終え、社会人として大きな責務を果たした後の人生は、子どもや仕事という緩衝材がない分、自分たちがどう暮らしたいのかという考えそのものが、浮き彫りとなってきます。
初めての家づくりが、「熟年夫婦二人だけの家づくり」となった堀さんご夫妻。そこでの経験を通して堀さんは、これから家づくりを考えている同世代の人たちに、次のようなメッセージを送ってくれました。
「子どもたちが巣立っていったら、また夫婦二人きりの生活が始まります。新婚時代とは違い、責任が軽くなったのですから、できれば楽しんで人生を過ごしたい。そのためには自分たちがどのように暮らしたいのか、何が幸せなのかを、きちんと見つめていくことが大切ですね」。
