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青森県上北郡・有澤さん
2002年8月築
機械がつくり出す快適さに依存した生活はしたくはない。
自然と歩調を合わせ、家も、そこに住む人も、自立した生活を送りたい。
設計ファイル
太陽熱だけでなく、光も、雨水ももったいないと余すことなく活用。
有澤さんのお宅は、OMの効果をより活かすために、浴室、洗面、トイレなどを北側に、キッチンを東側に寄せて中央に吹き抜けのある広い居間を設け、開放的な空間を生み出しています。
仕切りはほとんど設けず、トイレのドアさえも普段は開け放しているのだとか。けれども、仕切りを設けない代わりに、強度を補強するために柱を二本立て、その間に圧迫感を感じさせない隙間壁を設けたり、造り付けの納戸を仕切り代わりにするなどの工夫が施されています。
また、窓を大きく開放させるため障子の収納を窓の左右にもたせたり、暗くなりがちな北側玄関の上部に明り取り用に設けた天窓や、西側の窓は西陽を避けるため小さめの窓にするなど、太陽の光の効果を考慮して建てられています。
片流れの屋根から落ちる雨水は雨水タンクに貯めて、洗車や花壇、家庭菜園の水やりに利用するなど、自然のチカラを余すことなく活用しています。

【左】キッチンと食卓の間に仕切りとして両面が収納可能なカウンターが置かれている。
【右】補強用の柱の間には仕切りとして圧迫感を感じさせない隙間壁が設けられている。

【左】OM貯湯槽が収納されている部屋は乾燥室として活用。
【右】北東角の玄関は明かり採り用に天窓が設けられた。
建物概要
- 在来木造2階建て
- 敷地面積:356.96m2
- 延床面積:140.36m2
(1F:87.78m2、2F:52.58m2)
家づくりと暮らし
OMの家を建てるために工務店を探し、活かせる土地を見つけました。
家のどこにいても寒くないのがいちばん嬉しいという有澤さん。冬でもスリッパを履かなくても大丈夫なのだという。
有澤さんご夫妻の家づくりは、まずOMソーラーありき、からスタートしました。有澤さんとOMとの出会いは、奥様が独身時代勤めていた環境測定の会社で、パッシブソーラーの研究に携わっていたところから始まります。
「機械に依存しないで自然の力を借りて快適性を得るという発想がすごく面白い」と思ったという奥様。結婚して何年かの後、家を建てると決めた時には迷わず「家を建てるのならOM」と即断したといいます。そして 旦那さんも「太陽熱を電気に換えるのではなく、太陽で温めた空気をそのまま利用するOMは無駄がなくて面白い」と賛同し、有澤さんの家づくりは「OMの家を建てるために、何を為すべきか」というところから始まったのです。
「太陽をいっぱい受けている感じがする」奥様の希望で、屋根は片流れのデザイン。
そんな有澤さんが一番最初にしたことは工務店探しです。まず青森県の加盟工務店に接触し、OMに対する質問や家づくりへの様々な思いをぶつけてみました。すると担当者はその一つ一つに対し丁寧にわかりやすく応えてくれたばかりか、専門家としての具体的なアイデアを提示するなど、その柔軟な対応振りに、「これなら信頼して任せられる」と有澤さんは感じたといい、家づくりのための工務店が決まります。
さて、ここまでは大抵の人が辿る道ですが、有澤さんの場合ここから先が少し違っていました。
リビングの南側に延びる木製デッキ。
夏はバーベキューパーティを楽しむ。
有澤さんがそれまで住んでいたのは青森市内のアパート。「最初は青森市内で建てようかとも考えたのですが、日照を考えるともっといい条件の土地を探した方がいいのではと思い直しました。近々職場が移動になることも考え合わせて、職場に通勤できる範囲で、しかも日照の条件が良い土地を探しました」と、よりOMの効果が発揮できる土地を、という視点で土地選びをしたのです。そして選んだ土地が、上北郡の百石町でした。
本州の最北、青森県は、日本海、太平洋、津軽海峡と三方を海に囲まれたところで、日本海側と中央部、太平洋側と気候がそれぞれに違い、百石町のある太平洋側は冷たい風が吹くものの、ほとんど雪がなく日照が得られることから、「OMを建てるならここ」と百石町に決めたのです。
さすがに土地の気候を知り尽くした地域工務店の仕事はすごい。
2階東南の子供部屋。扉を設けずオープンな造りに。
「青森のアパートに住んでいた時は窓が半分埋まるぐらい雪が深く、暖房をしている居間だけは暖かいのですが、部屋を出る時はモコモコのスリッパを履いて 一枚上着を羽織らないといけない生活でした」という有澤さん。
「家全体が均一な温度になる家」を理想とし建てたOMの家は、木造2階建ての中央部分に吹き抜けを設けた仕切りのない伸びやかな空間が広がっています。
「こういう開放的な空間にするということは、温度が均一になる一方で、匂いや音への対策も必要になると工務店さんからアドバイスをうけましたが、うちはあまり大きな音を立てるようなこともないし、家族三人だけなので何の問題もないと考えました。前の3LDKのアパートにいた時も、使っていたのは結局暖房のある一部屋だけでしたから」と ご主人。
キッチンは同じ色調で統一しシンプルですっきりとした印象に。
この広がりのある空間を包む有澤さんのOMの家には、南面に降りるダイナミックな片流れの屋根が掛けられています。「私の中ではOMイコール片流れの屋根というイメージがあり、デザインの点から片流れの屋根をお願いしました。太陽をいっぱい受けている感じがするでしょう」と 奥様。
そしてお気に入りの片流れの屋根にはさらにうれしい工夫がされているのでした。「実はこの屋根の庇がすごいんです。冬は部屋の奥まで日差しを伸ばし、夏は日差しをさえぎってくれる。ダイレクトゲインをきちんと取り入れた絶妙な計算の基に造られているんです。」と地域の気候を知り尽くした工務店ならではの仕事に 奥様は驚きを隠せません。
1階西側の書斎は家族共用の部屋。縦一列に造りつけの長い机が設けられている。
OMソーラーが生み出すやさしい空気と日差しの温もりに、「おかげでこの家では冬でもスリッパを履かなくても大丈夫」。と満面の笑みをうかべます。
間取りとデザインを担当したのが奥様なら、ご主人はシステムの担当です。「北国なので補助暖房はどうしても必要になってきます。僕としてはFF式のストーブだけで賄いたかったのですが、工務店さんから床下にも補助暖房を入れた方がいいのではというアドバイスをいただき採用したことで、より暖房効果が得られたのではないかと思います」。
縁のないシンプルな畳の敷かれた2階北東の和室。
実際に青森にいた時の光熱費と現在とをグラフで比べてみても、延べ床面積は2倍に増えているのに光熱費はほぼ同じ。「面積が2倍になったのに、光熱費が同じで、その上快適性がぐんと増している」と、有澤さんは数字の上からも実体験からもOMの良さを実感。「なぜみんなOMにしないのか不思議なくらいです」といい、さらに「ただ、何をもって快適と捉えるかが問題」と、ことばを続けます。
「人によっては機械がつくり出す温熱環境がいいという人もいれば、私たちのように人工的なものに頼る生活ではなく、たとえば災害や何かで電気や水道が止まったとしても、臨機応変に対応できるようでありたいと考える人間もいます。
OMソーラーのことを知った時、機械に依存しないで自然を利用して快適な空間を生み出すという考え方があるのだと知り、使えるものは太陽でも、風でも、雨水でも、なんでももったいないから使いたいと思うようになりました。こうして僕たちのOMの家は誕生しました。
雨水タンクに貯められた水は野菜の水遣りや泥落とし、洗車用としてフルに活躍。
人によってOMは導入する際費用がかかるという人がいますが、設備をいろいろ入れると結局はOMを導入するのと同じぐらいかかってしまうのでは。OMの家の心地よさって住んでみないと分からないし、また住んでみると 機械に依存しない自然の快適さが分かる。これがOMの良さなのだと思いますね」
