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宮城県名取市・林さん

1997年1月築

写真:林さんの家外観仙台市の南に隣接する人口6万3千人のベッドタウン名取市。住宅が密集する中で、見知らぬ人から「家の中を見せてくれませんか」と声をかけられるというほど人目をひく、漆喰壁に木肌造りの家が、林さんのお宅です。

入居されたのは1997年1月のこと。健康のすぐれない両親のそばで暮らしたいと、仙台市内の社宅から、ご両親の家の隣りに新居を建てての引っ越しです。

板張りの土間のある玄関から一歩入ると、まず木の柔らかな香りが鼻をくすぐります。というのも、床、壁、天井の内装材だけでなく、風呂や構造材、下地材まですべて木を使っているのですから、森の中にいるのではと思うほど木の香りがするのも当然のこと。

写真:青森ヒバの浴槽 青森ヒバの浴槽は家族ゆったりと入れる大きさ。流し場は十和田石。

「ぼく達、子供の頃は木の風呂に入っていたし、楽しかったことを思い出していくと、当然家は木の家でないと…。自分達の育ったいい環境を、子供たちにも味わわせたいから」と、自然素材だけを使って家を建てた理由を、 林さんはこう説明します。そう言われて思い返してみれば、ひと時代前まで日本のお風呂といえば木が主流でした。それがホーローやFRPに変わってきたのは、ライフスタイルの西洋化や、日本人が忙しくなり手入れの簡単なものをと望んだこと、そして木は腐るという理由から。しかし、 林さんに言わせれば、「木は腐るって言うけど、それがいいのにね。温泉に行って、木の風呂なのにあまり腐ってなかったりすると、防腐剤いっぱい入れたのかなぁなんて心配になっちゃうから。キャベツなんかでも、虫が入ってたりすると、無農薬なんだなぁなんて喜んで食べるしね(笑)」

青森ヒバでできたお風呂は、家族4人でゆったりと入るほどの大きさですが、「これでも最初の計画よりはだいぶ小さくなった」のは、奥様に「台所が狭くなってお料理ができなくなってもいいの」と反対されたから。とはいえ、風呂場に防水のスピーカーを引き入れ、大好きなCDをかけ、湯槽に浸かりながら降る雪を眺め、飲むビールは最高なのだそう。

時間をゆっくり使う贅沢っていうのも、なかなかいいよね。

まだ社宅に住んでいた頃は、子供が小さいからガスや石油は危険と、冷暖房はほとんどエアコンに頼っていました。

「エアコンで暖を取ってると、のぼせて頭が痛くなっちゃうし、寒いからって付けっぱなしにしておくと、朝、子供たちが鼻血を出していたりね。それで、できるだけ自然のエネルギーで生活できればいいなと思っていたから、新聞でOMソーラーのことを知ってからは、もうOMしかないなって」

まずはOMで家を建てることを最初に決め、それからどういう家にするかは、住宅雑誌を段ボール箱に3つほど買い込んで研究。その中でいいと思ったところを切り取り、それを全部組み込んでくださいという注文をカタチにしたのがこの家です。」

「(OMについては)暖かい風がもっと爆発的に出てくるのかと、最初ちょっと期待しすぎちゃったのね。今の世の中、お金を入れれば何でもすぐ出てくる自動販売機に慣れてしまって、冷暖房もすぐ冷えたり、すぐ暖まったりしないと気が済まなくなってたのかな。今では自然に暖まっていくっていうのがナチュラルでいいし、気長に、時間をゆっくり使う贅沢っていうのも、ステキだと思う」

写真:勉強室 写真:木に囲まれた部屋
【左】ガラス屋根の勉強室はとても明るく、太陽が身近に感じられる。
【右】天井、床、壁とすべて木に囲まれた部屋は山小屋のよう。

贅沢と言えば、構造材はすべて国産材を使い、内装材も青森ヒバや杉、地松、外壁に漆喰と、自然素材をたっぷり使ったこの家も、ある意味での贅沢かもしれません。しかしそこで何の気負いもなく暮らしている林さんを見ていると、こういった身近にある素材を上手に使って生活することこそ、実は日本人の「普通」の暮らしであったことに改めて気づくのです。

「贅沢に見えるかもしれないけど、ぼくらにとっては、これが必要だったからそうしただけ」とさらりと言う林さん。それが決してイヤミにならないのは、「生きているうちにやれるだけのことをやる」をモットーにしている 林さんの、潔さのなせる技。

自然素材に伴うメンテナンスについても、「子供たちが暮らしていれば、傷ついたり汚れたりするのは当たり前のこと。だから一切何もしていません。ずっと先にいって汚れておかしくなったら、その時また考えればいい」とナチュラルに対応する気構え。

子供の思い出に残る家を建てられた林さんの家は、入居された年の秋には双子の赤ちゃんが加わって、思い出のページがさらに賑やかになりました。

写真:玄関 写真:ロフトのある子供部屋
【左】玄関の土間は板張りで、すのこのように取り外しができる。
【右】子供部屋。お姉ちゃんはベッドの上段からラクラクとロフトに昇ることができる。

OM通信 No.24より

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