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新潟県上越市・小山さん

2008年10月築

厳しい条件の中で、
知恵と工夫を凝らしました。
厳しい環境の中で、
自然の力を活かしました。
みんなが気持ちよく暮らせるこの家は、
私たち家族の誇りです。

設計ファイル

感覚的に広がりを感じさせる工夫で狭さをカバー。

写真:新潟県上越市・小山さんの家(外観)東側の広い県道に面して店舗を構える「小山塗装店」。店舗のある1階は構造的には地階、リビングダイニングと水周りのある2階、寝室のある3階が1階、2階にあたり、地階が鉄筋コンクリート造、1、2階が木造となっています。南と北の両方が隣家に挟まれ、東西に細長い敷地ですが、南面で集熱が確保できたためOMソーラーが可能となり、密集地でのOMソーラーの家が実現しました。

敷地が以前の半分ほどになってしまったため、空間をできるだけ広く感じさせるように、ワンルームタイプのフロアを三層重ね、階段でつなぐという方法を取っています。視線を伸ばす工夫や、色調の統一、照明に強弱をつけるなど、感覚的に広がりを感じさせる工夫を凝らしています。

写真:新潟県上越市・小山さんの家(内観)

建物概要


新潟県上越市・小山さんの家平面図(クリックで拡大)

写真:落ち着いた佇まいの玄関ホール。 写真:ワンルームタイプの各フロアをつなぐ階段。 写真:西側(裏側)から見た小山塗装店。
【左】落ち着いた佇まいの玄関ホール。
【中】ワンルームタイプの各フロアをつなぐ階段。
【右】西側(裏側)から見た小山塗装店

家づくりと暮らし

物理的な狭さを感覚的に広く。これができたのもOMのおかげです。

写真:LDK
道路越しの緑の風景に向けて伸びやかに開いたLDK。

新潟県上越市で塗装業を営む「小山塗装店」。創業は今からおよそ百年ほど前。塗料がまだ普及していない時代に漆(うるし)を扱う店として開業し、現在の当主、小山伸次さんで三代目となる塗装店です。

写真:冬季の集熱効率を考えた急勾配の屋根 冬季の集熱効率を考えた急勾配の屋根。

古くからここで商いを続けてきた「小山塗装店」に変化が訪れたのは、二十年ほど前のことでした。県道の拡張事業により敷地が削られることになり、代替地を選ぶかこのまま狭くなってもこの土地に居続けるかの選択を迫られたのです。

地域の発展のためとはいえ、道路から8メートルも後退せざるをえないとなると、敷地は元の半分ほどに。「こんなに狭くなるのでは、家など建てられない」と最初は思ったそうですが、「長い間商売を続けてきましたので、場所が変わったらお客様にご迷惑をかけることになります。便利のいい所でもありますので、できるだけここに住み続けたいと思い直しました」と、代替地でなくこの地を選んだのです。

写真:リビング リビングは東側の大きな開口部から明るさを確保。

「狭くはなるけれど、ここに店舗兼住宅を建てよう」と決めた時、伸次さんの頭に浮かんだのが、高校の同級生で建築設計工房を主宰する大橋秀三氏でした。塗装業という仕事柄、多くの家づくりに関わってきた伸次さん。大橋氏が設計した家にも触れる機会があり、その仕事ぶりを、「飛びぬけて空間の掴み方が巧みだ」と高く評価していたといいます。そこで「彼なら狭い敷地でも広く使える家を考えてくれるのでは」と、厳しい条件の中での家づくりを大橋氏に託すのです。

また職人として出入りする数多い現場の中には、OMソーラーの家も含まれていました。「塗装という仕事は家づくりの終盤で関わる仕事ですが、たくさんの家を比較しているうちに次第に目が肥えていき、中でも久保田建築さんの建てるOMソーラーの家はいいな、と日頃から思っていました。ですから家を建てると決めた時、まず第一にOMの家にしたいと考えたのです」。

写真:2階多目的室 ハンドリングが室内に露出された2階多目的室。

そうはいっても新潟は雪国です。太平洋側に比べると冬の日照時間が少ないのは事実です。しかし、少ないだけで日照がないわけではなく、たとえ短時間でも太陽が顔を出せば集熱することができます。そして床下に蓄えられた太陽の温もりは、温熱環境の底上げに効果を発揮し、暖房を必要とする期間の短縮にも役立ちます。
「シミュレーションで暖房費として電気、ガス、灯油、OMのどれが経済的かを比べてみました。その結果、OMがいいという結論になったわけです。それにこういう時代ですから、地球温暖化防止に貢献できるというのもいいと思います」と伸次さんは、OM導入の理由をそうお話してくれました。

「前の家よりも広くなったみたい」と言われるんです。

写真:応接室 地下の塗装店の応接室。左手が玄関。

こうして、「敷地が狭くなっても工夫によって伸びやかに暮らしたい」との思いは、設計のプロである大橋氏とOMソーラーの家に託され、2008年10月、四代目となる長男、弘晃さんへと受け継がれていく新しい「小山塗装店」が誕生しました。道路に面した1階(構造上は地階)が店舗と奥に仏間。2階がダイニングキッチンとリビング、3階に寝室というワンルームタイプの空間を三層重ねた構造で、東の道路側には大きな開口部を設けて明るさを確保しています。

「今まで住んでいた家は築35年ぐらいの3階建ての家で、小さく分かれた部屋を廊下でつなぐといった感じの家でした。茶の間が店の奥にあったものですから、昼でも照明をつけなければ暗いし、台所は孤立していて寒いし、1階から3階の息子を呼ぶのに電話を使わないといけないしと、いろいろ不便な部分があったので、こういう明るくて家全体に一体感のある暖かい家ができて、本当に嬉しい」というのは奥様の佳野さん。

一方、敷地が変形していることや、隣家が密接しているなど多くの課題を抱えながら設計に立ち向かった大橋氏は、「色をたくさん使わないですっきりさせたり、欄間を通して視線に広がりを持たせたり、照明によって明るさに強弱をつけたり、収納をきれいに収めたりと、物理的な狭さを視覚的、感覚的に広く見えるよう工夫しました。こうした空間が可能になったのも、OMソーラーのおかげだと思っています」と、苦労を乗り越えての完成に喜びもひとしおです。

写真:対面キッチン 対面キッチンが何より嬉しいと佳野さん。

2008年、これから冬を迎えるという時期にOMソーラーの家に入居した小山さん。「この辺りでは11月には暖房を入れるのですが、OMソーラーだけで十分暖かかったのでびっくり。12月に入ってから朝晩だけ補助暖房が作動するようになったのですが、雪が降っても降った後でも、天気さえ良ければ棟温度が60~70℃になっています。それに床暖房なので、足元が暖かいから体感温度として暖かく感じますね」と佳野さん。

また長女、智子さんも、「前の家のことを知っている人は『前より広くなったみたい』とおっしゃるんですよ。不思議ですね」と明るく笑います。

厳しい条件だからこそ知恵と工夫を凝らし、厳しい気象環境だからこそ積極的に持続可能なエネルギーを取り込んで家づくりに向かった小山さん。「可能な限りの努力を惜しまず、家族が気持ちよく暮らせる場所を」と望んだご家族の姿勢が、そのまま家づくりに表れているのです。

写真:広々とした事務室。 写真:玄関部分に植えられた植栽。
【左】店舗部分の広々とした事務室。
【右】玄関部分に植えられた植栽。

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