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長崎県西彼杵郡・山田さん
2003年3月築
かけがえのない「時」を大切にするために、たくさんの思い出をつくろう。
豊かな表情を持つ美しい自然の中で、太陽の温もりのする気持ちの良い家を建て、家族みんなでたくさんの思い出を育てよう。
設計ファイル
コミュ二ケーションを大切にした家づくりだから、家族の一体感がより深まった。
家の中からは、豊かな四季の姿が絵画のように楽しめるよう、四方に窓が設けられており、トイレの窓からの景色も美しいため、トイレのドアは普段、使用中以外は開け放たれ、景色を眺めることができます。
廊下を設けず1階、2階ともワンフロアタイプでぐるりと回れる回遊型にした室内は、水平方向と、ロフトまで伸びる垂直方向へと視線が伸びて、限られた空間を広く感じさせます。
また、細部にわたり家族のコミュニケーションを大切にした家づくりとなっています。台所から2階の子どもたちの気配が感じられる吹き抜けや、カウンターで食事や宿題をする子どもたちと向かい合わせになれるアイランドタイプのキッチン。さらに家族共有の勉強机も設けられています。

【左】合併処理浄化槽を導入。「長崎で一番きれいな排水です」と胸をはる山田さん。
【右】少し高さをつけた2階の和室は普段は開放しているが、来客の際は扉を閉めて客間に。

【左】2階のフリースペースに設けられた家族共有の長い一枚机。窓の外に目を向ければ美しい雪浦の自然が広がる。
【右】カウンターに座る子どもたちに声をかける奥様。コミュニケーションを大切にしたいとキッチンはアイランドタイプに。
建物概要
- 在来木造2階建て
- 敷地面積:496m2
- 延床面積:101.23m2
(1F:52.89m2、2F:48.34m2)
家づくりと暮らし
子どもたちと過ごす今を大切にしたいから、気持ちの良い場所に、気持ちの良い家を建てました。

長崎市から北へ車で約1時間のところにある雪浦(ゆきのうら)は、海あり山あり川ありの豊かな自然に恵まれています。長崎市内で団地住まいをしていた山田さんご家族は、たまの休みに家族揃って釣りや川遊びを楽しむためのとっておきの遊び場として、雪浦を訪れていました。
「主人の仕事が忙しく、あまり遠くへ出かけられませんでしたので、雪浦は距離的にちょうどいい場所でした。自然もいっぱいあって、家族のお気に入りの遊び場」と、奥さま。雪浦の豊かな自然に触れる たびに、「こんな気持ちの良いところに住めたらいいね」と言っていたといいます。
とはいえ、ご夫妻ともに県外の出身で、しかも転勤族という事情を考えれば、それはあくまでも漠然とした憧れであって、実現するなど思ってもみなかったことだったのです。
そんな山田さんが、あえて長崎の地に家を建てようと決めたのは、二人の娘さんの存在でした。
子どもたちと過ごす「今」という時間を大切にしたいから家づくりをしたという山田さん。
「自分たちにとって、今、いちばん大切なことは何だろうと考えたのです。そうしたらそれは、子どもたちに良い環境を与えてやることではないか、それも子どもたちに思い出をつくってやれるのは、今、この時期しかないのではと、そう思ったのです」
家を建てるのはもう少し年を取ってからと考えていたという山田さんですが、子どもたちを見ていると、「今、この時期でなければできないことがある」、そう感じたといいます。そこで、子どもたちに良い環境を与えるために家を建てよう」、と思い立ち、「良い環境」にぴったりの場所として、思いを高めていったのが雪浦だったのです。
「住めたらいいね」と思ってはいたものの、まさか本当にそんなことができるのだろうか…。そこで、雪浦で無農薬野菜を生産している友人から野菜を購入していた奥様は、とりあえずその友人に「雪浦に住みたいのだけれど」と相談してみます。するとその友人からまた何人かのつてを経るなど、雪浦に暮らす人々の協力を得て、なんと、希望どおりに土地が見つかってしまったのです。
美しい自然だけでなく、地域の人々にも見守られながらすくすくと育つ子供たち。
そして山田さんは、良い環境として望んでいたものがすべて揃った憧れのこの土地に建てる家を、OMソーラーの家に決めました。
「OMのことは環境問題に取り組んでいる父から聞いて、初めて知りました。父は、環境住宅を調査した際、OMのことを勉強したそうで、『家を建てるならOMソーラーがいい』と薦めてくれたのです。父からそう言われていろいろ調べてみると、木づくりの家で、なんて気持ちの良さそうな家なのだろう。太陽熱と空気を活用して心地よい室内環境をつくるという仕組みもすごく面白そうだし、まさに私たちが住みたいと思っていた家そのものでした。すぐにOMで建てようと決めました」。
気持ちの良い環境に、気持ちの良い家を建て、そこで家族みんなが気持ちよく暮らしたい。それが山田さんの家づくりの原点です。
木をたくさん使ったOMソーラーの家はジャングルジムみたいと子どもたちのお気に入り。お友達もたくさん遊びに来るという。
家のどこにいても家族の気配が感じられる家でありたい、子どもたちが走り回れるよう、ぐるりと回遊型の家にしたいという希望を柱に、山田さんは家族が気持ちよく暮らすためのアイデアをいくつもいくつも考え、工務店に伝えました。
そしてその思いに応え、時には夜遅くまで議論を重ねながら、そのひとつひとつを形にしていった工務店。その職人としての姿に山田さんは、「この人たちは本当に家づくりが好きなんだな」と感心させられたといいます。
地域の活動にも参加し、自分たちの「故郷づくり」をしています。
きれいな空気をいっぱい感じながら、ユラユラ揺れるお父さん手づくりのブランコ。
2003年3月、OMの家が完成し、晴れて雪浦の住人となった山田さん。この雪浦の地には山田さんのように県外から来て、陶芸などものづくりに携わる人々が多く暮らしており、またそれを受け入れる土壌もここにはあるのだといいます。
そして年に一度、それらの人々が地元の人々と協力し、それぞれの自宅や工房を会場に、創作活動の成果や地元の農産物などを紹介する、「雪浦ウィーク」というユニークなコミュニティ・イベントが開催されています。
山田さんも家を建てたその年から、「コタノダクマ(コタは地名、ダクマは手長エビ)」を屋号とし、雪浦川に生息するエビや魚類を水槽で展示紹介するという形で、「雪浦ウィーク」など地域の活動にも参加し、雪浦での生活を楽しんでいます。
この家に越してきてからネコと鶏が加わり、家族が増えてにぎやかになった。
こうして「子どもたちに良い環境を与えてやりたい」と、豊かな自然いっぱいのここ雪浦に、OMソーラーという自然と共生する家を建てた山田さん。その思いのとおりに、美しい自然を友とし、温もりのある家に包まれ、地域の人々に温かく見守られながら、のびのびと育つ 子どもたち。二人の娘さんの姿を見るにつけ、ここ、雪浦に土地を求め、OMの家を建てて本当に良かったと思う毎日だそうです。
雪浦の住人となった山田さんの家は、家族の名前が書かれた陶器の置物が迎えてくれる。

「今までは転勤があると家財道具を全部持って移動する生活でしたので、自分たちの居場所というものがどこにもありませんでした。でも今はこの家、家族が気持ちよく満足して暮らせる家があります。たとえ転勤になったとしても、もう今までとは違い、ここに帰る場所があるのです。ここが私たち家族の居場所、私たちがいちばん気持ち良いと感じられる場所なんです」。
山田さんにとっての家づくりは、単に住むための「場づくり」にとどまらず、山田さんご家族の「故郷づくり」でもあったのです。そこで育む心地良さに包まれた日々は、かけがえのない思い出となり、子どもたちの未来へとつながっていきます。

雪浦ウィークでは地元に棲息する川魚を水槽で展示した山田さん。
階段の桟にはこんな置物がさりげなく飾られていた。
