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OMソーラー特別企画/“大人になった僕らは、軽井沢の夏を知る”Summer Vacation in KARUIZAWAOMソーラー特別企画/“大人になった僕らは、軽井沢の夏を知る”Summer Vacation in KARUIZAWA

志織洋輔麻友涼

Introduction

大学時代のゼミの友人である洋輔、志織、涼、麻友。
卒業してからは集まる機会もなくなった4人だったが、
ある日、志織と洋輔が偶然再会したことをきっかけに、
「久しぶりに集まろうか」と話が上がる。

「せっかくならさ、ただ飲むんじゃなくて、旅行とかにしない?」
「旅行? かなり思い切ったね?」
「いいじゃん、1泊2日とかでさ、ちょっとお金かけて、
学生にはできないような小旅行しようよ」

社会の厳しさや理不尽さを味わって3年、彼らは消耗した心を癒すため、そして再会を祝うために、軽井沢への小旅行に出かけることにした。

Day 1 10:00/東京から車で2時間半たどり着いたのは、自然と利便性が調和した別世界/クラスベッソ西軽井沢

「いいところじゃん!」
「わーすごい! 東京よりずっと涼しいねえ」

途中、渋滞に巻き込まれながらもたどり着いた西軽井沢は、
水気を含んだ草木を揺らす風が心地よく、
サワサワと優しい音を奏でて彼らを迎え入れてくれていた。

そんな静かな環境に馴染むように、木造のコテージがそっと佇む。
到着した4人は、車から荷物を降ろしながら、
これから体験する1泊2日の非日常に胸を躍らせた。

社会人になって3年、洋輔を見つめる志織の目には、驚きと喜びが入り混じる

離れた時間と、成長した背中

コテージの中はシステムキッチンやWi-Fiなどの設備が整いながらも、
自然と調和したシックな印象が漂う。

志織が荷物を2階に運ぼうとすると、洋輔が声をかけた。

「荷物、持つよ」
「ううん、重たいから平気」
「大丈夫、おれ、男の子だから」
「何それ(笑)」

ちょっとしたエスコートよりも、洋輔の照れ隠しの一言に、志織の胸は高鳴る。

「そういえば、最近男子に優しくされたことなんてなかったかも……」
男社会で働く志織には、洋輔の行動が少し新鮮なものに思えた。

大学を卒業してから3年。学生時代の彼だったら、
人の荷物を率先して運ぶことはしなかった。

すでに2階へと上がったその背中に、離れていた時間と成長を感じる。
志織は少し大人びた洋輔に寂しさと頼もしさを覚えながら、その背中を見つめていた。

特別な土地で笑い合う時間こそ、彼らが一番求めているものだった

広い空と雄大な景色に響く、何気ない会話

1階のテラスから外を眺めると、鳥の鳴き声と、浅間山をはじめとした大自然の景色が広がる。

「気持ちいい!」
「ロケーション、最高だなあ」
「朝方にここでコーヒーとか飲んだら、よさそうだよね」

開放的な空間に、何気ない会話が広がる。

大学時代、同じゼミで出会った4人は、夢で溢れていたはずの社会人生活に疲弊した。
理不尽な指示や重なる残業から逃れるため、ひさしぶりに集まって、
軽井沢までやってきたのだった。

「部長の顔を忘れるまで帰らねーぞ」

涼が決意した顔で言い、3人が笑う。
もう、学生時代のようにはしゃげない。でも、大人には大人の遊び方がある。
限られた時間のなかでこの特別な環境を最大限に満喫するため、
4人はさっそく軽井沢の街に向かうことにした。

Day 1 12:00/味の違いを楽しむ軽井沢発のクラフトビール醸造所で大人の社会見学/ヤッホーブルーイング
撮影:株式会社ヤッホーブルーイング

「クラフトビールで有名な醸造所が、軽井沢にある」という情報を仕入れてきたのは、志織だった。
学生時代から「酒好きが多いゼミだ」とよく自分たちのことを笑っていた4人からすると、
ビール醸造所は聖地のようなものである。
軽井沢に着いて一番に向かった先が、クラフトビールシェア第1位を誇る
ヤッホーブルーイングの醸造所だったのも、彼らにとっては自然な流れだった。

「あれ、似合ってるじゃん(笑)」
クリーンキャップを被る涼を見て、麻友が茶化す。

大人の醸造所見学が始まった。

撮影:株式会社ヤッホーブルーイング

別れたふたりは、近しい距離にいても素直になりきれない

素直になれない、身近な存在

「最近はコンビニでもよく見かけるけど、そんなに売れているビールだなんて全然知らなかったな」

貯蔵タンクを見つめながら麻友がつぶやくと、涼がスマホをかざしながら話しかける。

「身近なものほど、意外と気付けなかったり、見落としていたりするものなんだよな」 

ふたりは学生時代、付き合っていた。
そのことをゼミの友人たちに明かしたことはなかったが、会話のテンポや笑いのツボなど、些細なところで相性の良さを覚えていたふたりは、四六時中連絡を取り合っても苦に感じないほど、親密な関係を築いていた。いま思えば、互いに依存し過ぎていたのかもしれない。

しかし、社会人になってお互いの時間が取れなくなると、自然と喧嘩も増え、それまで積み重ねてきた時間、相性の良さが嘘だったかのように、あっさりと別れた。どちらが悪いわけでもなく、ただ環境が彼らを引き離したのだった。

「身近なものって、たとえば元カレの気持ちとか?(笑)」

おどけた様子でそう言う麻友に、涼は少し戸惑いを見せ、そっと視線を逸らした。

撮影:株式会社ヤッホーブルーイング

過去には戻れないことを受け入れながら、4人はグラスを交わす

「あのころは良かった」なんて、言いたくない

「やっと試飲ですよ。これを楽しみに来たからね!」
「志織、さっきまで全然説明聞いてなかったもんな(笑)」
「聞いてたよ! 人聞き悪い!」
複数の銘柄を順番に試飲できると聞いて意気揚々としている志織を、洋輔がからかう。

「志織って、昔からそういうとこあるよねー?」
麻友もそれに漏れなく便乗し、涼も思わず吹き出す。

「いいから乾杯するよ! ほら! 軽井沢到着、お疲れさまでしたー!」

4人で集まるのは3年ぶりにも関わらず、まるでブランクなどなかったかのように笑い合う。

「学生時代とかを振り返ってさ、『あのころは良かった』とか言いたくないし、言わなくて済みそうだよね、こういう時間があれば」

グラスに残った泡を見つめながら洋輔が言うと、
4人はどこか寂しそうに、でも誇らしげに口角を上げてから、
「何センチメンタルになってんの(笑)」と笑い飛ばした。

Day 1 14:00/木々に囲まれた美術館現代アートに忍ばせた過去と未来/セゾン現代美術館
撮影:セゾン現代美術館

昼食休憩を取った後は、豊かな自然に囲まれ、
ときに景色とアートが共存する美の拠点「セゾン現代美術館」に向かう。

「11月までの展示テーマ、『恋する現代アート』だってさ」
何気ない洋輔の発言に、少し頬を硬直させる志織。

「どしたの? 行くよ?」木々が揺れて、4人を館内へと導く。
ゆっくりと足を進めるものの、志織の足取りはやや重い。

撮影:セゾン現代美術館

同じ絵画を眺めながら、洋輔は志織を想い、志織は過去を想う

ひとつの絵画と、知らない過去

「……私、前にここに来たことがあってね、この作品、また見たかった」
洋輔とふたりで館内を周っていたところ、ある絵画の前で志織が立ち止まった。

「この作品は、前からずっとあるやつなんだ?」
いまセゾン現代美術館のテーマは『恋する現代アート』で、
7月から始まったばかり。さすがにそんな直近で2度来ることはないだろう。

「うん、1年前かな。そのときもあった。この絵の前で、彼にフラれたんだ」
「え!」
予想もしていなかった一言に、思わず固まる。

「……だいぶ重いな、それ」
苦い顔をしながら絵を見つめる洋輔の横顔を、
志織がジっと見つめる。

だから塗り替えに来たよ、今日」
「塗り替える相手がゼミの友人ってのも、寂しくない?」
「ううん、いいんだ、洋輔で」

ふたりは、ひとつの絵画を見つめる。

撮影:セゾン現代美術館

見失わない程度の距離感で、涼の後ろを着いて周る麻友

変わらぬ性格と、止まったままのふたり

「ねえ、あのふたりって、付き合うのかな?」
涼と麻友は思い思いに好きな作品を見ながら周っていた。

涼のマイペースなところは学生時代から変わっておらず、
少し目を逸らすと置いていかれそうになる。
でも、麻友はそんな涼の性格に安心感すら覚えていた。

「洋輔は、あんまり意識してないと思うけどな」
「えー、志織は前からあんなに洋輔のこと好きなのに?」
「え、そうなの?」

鈍感なところも変わっていない。
麻友は涼の変わらない性格を見るたび愛おしくなり、
変わったところを見るたび寂しい気持ちになるのだった。

「涼はいま、彼女いんの?」
わざと少しぶっきらぼうに聞いてしまう。
「いないよ、あれからパッタリ。そっちは?」
また少し安堵しながら「私も」と答える。

ふたりは、別々の作品を見つめる。

Day 1 19:00/クラフトビールとソーセージ少し贅沢な地産地消のバーベキュー/クラスベッソ西軽井沢

目立った街の明かりもさほどない軽井沢の夜。
コテージに備え付けのアウトドアテーブルとチェアを広げて、
軽井沢高原ビールやソーセージを並べる。

「地元の食材を使ったバーベキューって、なんかいいよね。
昔はどれだけ安い肉を買えるかって、躍起になってたけど(笑)」

いつもより少し贅沢な食材を、必要な量だけ。
買い出しを担当した男性陣は、心なしか得意気な表情をしていた。

一通り食材をカートに入れたが、ぼんやりと店内を周り続けるふたり

野菜売り場のボーイズトーク

バーベキューを始める2時間前、洋輔と涼は、車を走らせて地元のスーパーにいた。
「あのさ、もしかすると知らなかったかもしれないんだけど」

野菜売り場に並ぶ、都心よりも大きくて安い食材を眺めながら涼がそう切り出すと、洋輔は次の言葉を待った。

俺と麻友が付き合っていた話って、したっけ?」
どんな話でも驚かないように心の準備をしていたつもりだが、さすがに肝を抜かれる。

涼は驚く洋輔を横目に、既にふたりは別れていること、今回の旅行で久しぶりに再会したが気まずい空気ではないことを淡々と話した。

世の中、知らないことばかりである。
「おれもさ」
今度は自分の番と言わんばかりに、洋輔が切り出す。

「うん?」
「…志織と付き合ってみようかなって、思い始めた」
「マジで!?」

普段はマイペースな涼も、さすがに驚いた。
先ほど麻友から、「志織は洋輔に気がある」と聞いたばかりである。
そのことを洋輔も気付いていたのかもしれないと思うと、涼は自分の鈍感さを情けなく思った。

上着を羽織るとちょうど良いくらいの気温。軽井沢の夜が更ける

一日の終わりを天然のBGMとともに

「はい! 1日目、おつかれさまでした~! カンパーイ!」
「カンパーイ!!」

風鈴のような音色を奏でる夜の虫たちの声をBGMに、4人の談笑がビールとともに進む。

「いやーいいね、実にいい。上司も同僚もいない乾杯ほど、気持ちいいものはないよね」
「涼はどれだけ職場が嫌いなの(笑)」

アルコールとバーベキューの熱に頬を赤らめながら、4人は仕事の愚痴や、この3年間に起きた身の上話を打ち明け合う。

「洋輔はさ、好きな人とかいないの?」
麻友が唐突に尋ねる。

「え、いや、うーん、いるっちゃあ、いるかなあ」
「なにその反応、ハッキリしない男だねぇ」
麻友は洋輔の目をじっと見つめながら言う。

「いい? 大事だと思ったものはね、近くにあるうちに掴まないと、すぐどっかに行っちゃうものなんだから」
麻友の言葉の真意を、そのときの洋輔はまだよく理解できていなかった。

Director & Editor: Masaru Yokota (Camp) / Writer & Planner : Masahiko Katsuse (press labo,Inc.) / Photographer : Nozomu Toyoshima / Makeup : Yukiko Sumi / Cast: Saorin as Shiori, Ryouzan Sawamura as Ryo, Mayoyo as Mayu, Toshiki Imafuku as Yosuke / Design & Programming : Design Studio L / Supervisor: multiple Inc.