大きな南窓から差し込む光
些細な光景が、食卓を特別なものにする

―ここからは奥様も交え、お話を伺えればと思います。お二人がそれぞれ気に入っているところを教えてください。

遠藤由紀さん(以下、奥さん)
家を建てるにあたって、私がお願いしたのはひとつだけ。「大きな独立洗面台を設けてほしい」ということです。あとは学生時代に建築を学んでいた主人にほとんどお任せしました(笑)。うちの子どもは、上から男・女・男と3人兄弟で、お風呂や脱衣所に誰かいる間に顔が洗えなかったり、歯が磨けなかったりするとストレスだと思って、別々にしてもらったんです。洗面台と鏡を別々に使えるようにしたのも、ポイントですね。
遠藤さん
僕はダイニングですかね。「食」って、一緒に食べている人や、そのときの景色によっておいしくもまずくもなると思うんです。上司に説教されながら食べるご飯なんて、これぽっちも味を感じないでしょう?(笑)だから、ダイニングテーブルは2m20cmの特注。家族5人で囲んでも窮屈にならないサイズにして、窓も南向きに大きなものを付けました。
奥さん
うん、この窓は良かったよね。朝、カーテンを閉めていることも多いのですが、そこに鳥の影が映ることがあるんですね。すると子どもが「鳥が来た!」と言って、カーテンをそっと開けて、どんな鳥か姿を見る。そんな些細な光景が、食卓を楽しくさせてくれています。
遠藤さん
それと、この家を設計してくれた建築家の島田貴史さんが名付けてくれた「ミズニワハウス」の由縁でもあるんですけど、ダイニングの外の水場かな。ここに水を張ると、陽が射したときに光が反射して、天井に水面が映るんです。商業施設などでよく見かける建築手法なのですが、どうしても自宅でやりたかった。まあ、妻は実際に見せるまで理解してくれなかったですけど(笑)。
奥さん
当初は「タライに水を溜めればいいんじゃないの」って言ってましたね(笑)。

―時間がゆっくり感じられるダイニングですよね。

奥さん
そうなんです。よくここで本を読みながら、うたた寝してしまったりして(笑)。あと薪ストーブも気に入っています。OMソーラーがあれば家の中は適度に暖かいんですけど、薪ストーブがあると、そこに人が集まる「場」ができるんですよ。
遠藤さん
普通の暖房でもよかったけれど、薪ストーブの周りには自然と人が集まるし、炎を眺めながら飲むお酒もおいしい。二人ともお酒が好きだから、お酒を楽しむ環境をつくるのにこだわった、ということもありますね。

―ご自宅を建て直したきっかけに、3.11の震災を挙げられていましたが、太陽熱をそのまま家の暖房に使うパッシブ住宅にシフトしたのも、震災による影響があったからでしょうか。

遠藤さん
震災以前からOMソーラーによるパッシブ住宅のメリットは理解していたので、改めてということではないです。ただ震災が起きて原発の問題が生じて、改めてエネルギーの利用についてみんなが見直し始めた。そのタイミングでエネルギーを自給・循環できる環境に移行したのは、自然な流れだったように感じます。エアコンも使いたい時は使うけど、過剰には使わない。そのくらいの縛りで、心地よく暮らせたらと思っています。