自然と一緒に暮らしていることを
実感できる、穏やかな空間

―納得のいく木材を手に入れるために、わざわざ現地まで出向かれたことに驚きました。保育園の経営者なら誰もがする、ということではないと思いますが、以前から建築関係にご興味があったのですか?

園長
昔から、木や自然は好きでしたよね?
理事長
そうだね。とくに改築当時はエコや環境問題などがしきりにうたわれていて、緑や水、太陽の恵みについて考えることが多かったんです。たとえばこの建物を改築するときも、施設を建てるより先に木を植えるところから始めました。普通は施設が建ってから、それに合う木を植えると思うのですが、木は一日でも早く植えたほうが、その土地になじんでくれる。本来の優先順位とは逆かもしれないけれど、自然が活き活きしているほうが、結果的に子どもたちのためになると思ったんです。
園長
敷地内にある介護向けデイサービスの施設を建てるときも、同じようなことで少し無茶を言って、建築士さんたちを困らせました(笑)。施設を設計する際に「植えてある木は、すべて残して建ててほしい」と伝えたんです。その結果、建物はかなり複雑な構造になってしまいましたが、これがかえって良かった。木々が建物を覆って、夏場は天然のカーテンができますし、冬場は葉が落ちて陽がさんさんと入る。とても心地良い空間になりました。
理事長
「木々の助けがあるから、冷房の数は半分でいい」と設計事務所にも伝えて、反対を押し切って実行したんです(笑)。今でも夏は涼しく、冬は暖かい。木と一緒に暮らしている実感を得られるから、この判断は正しかったと思っています。

「子どもたちがお年寄りと関わるのは、生きるうえで自然なことだし、0歳から100歳まで、日々の生活をみんなが心地良く楽しめる環境をつくりたい」と話すおふたり。お年寄りのためのデイサービスや児童発達支援向けの施設も敷地内に構えるみつまた保育園には、今日も子どもたちの別け隔てのない笑顔が溢れている。“誰も仲間はずれにならない場所”には、木々と太陽の温もりが、とても穏やかな時間をもたらしていた。

みつまた保育園

社会福祉法人加須福祉会みつまた保育園。昭和51年に加須保育園の分園として創業以降、近隣の協力を受けながら敷地面積を広げ、現在は緑豊かな庭園と児童館、老人デイサービスセンターも併設。多世代とのふれあいにより、豊かな心と人間関係を育んでいる。平成17年、施設の老朽化に伴い全面改装した際、OMソーラーを導入。広く多機能な交流スペース、ランチルームなど、木々の温もりを通じた心地の良さにこだわった園舎が完成した。