日本の気象

自然のエネルギーを活かそう、というOMソーラーにとって、家をたてる地域の気象条件は、設計の段階からとても重要な要素となります。OMに関わらず、当然そこで暮らしていく上でも大きく関わってきますよね。あなたがお住まいの地域にはどんな特色があるでしょうか? 日本は、南北約3000kmにわたって細長く伸びた島国です。本州だけでも、北海道の宗谷岬は冷帯多雨気候(※1)、南方の鹿児島は温帯多雨気候(※2)と、その気候・風土はまったく異なります。
さらに日本列島は山脈や平野・盆地、岬や湾・潮流の影響など、気象条件をかたちづくる要素が複雑に絡み合い、その土地土地特有の気候・風土が生まれています。そのため、わずか200km程しか離れていない日本海側の金沢と太平洋側の東京でさえ、その気候は大きく異なります。
ここでは、天気予報でおなじみの「アメダス」観測による日照・風向風速・降水量・気温を取り上げて日本列島の気象を俯瞰(ふかん)してみます。

※1 冷帯多雨気候:もっとも暖かい月の平均気温が10℃以上、もっとも寒い月の平均気温が-3℃以下である冷帯のうち、冬の乾燥が著しくなく、年間を通じて降水がある地域。
※2 温帯多雨気候:中緯度の温帯は、寒帯前線帯とそこに発生する温帯低気圧の活動によって、年間を通じて豊富な降水のある地域。 (出典1)

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日照時間

日本の年間日照時間は、大陸から吹き付ける季節風が、その分布を決めています。南北に細長く伸びた本州を東西にわける脊梁(せきりょう)山脈(※3)を境に全く異なった気候となっており、月別のグラフからも、そのことがよくわかります。
※3 脊梁山脈:背骨のように列島を縦断している山脈。奥羽山脈、越後山脈、飛騨山脈などの総称。

年間日照時間

1月の日照時間を見ると、日本海側と山岳の日照時間が、太平洋側の平野部の日照時間に比べ特に少ないことに気がつきます。
冬の間、大陸(シベリア高気圧)からの冷たく乾燥した空気が日本海海上で湿った空気となり、日本列島へやってきます。この湿った空気が脊梁山脈にぶつかり、山脈の手前では雪に、山を越えた先ではおろしや空っ風(※4)となり、晴れとなります。このため、山脈の西側や日本海側では曇天の日が多くなり、逆に東側では晴れの日が多くなります。中でも、瀬戸内地方、東海地方、北海道の十勝平野が日照に恵まれているのは、各地域を囲む山脈が季節風の流入をせき止めているからです。
それが4月には、日本全国ほとんどの地域の日照時間が160~180時間の範囲に入ってきます。そして梅雨明けする7月には、東西の分布は逆転し、太平洋側に比べ日本海側の方が日照時間が多くなります。太平洋側の盛夏はムシムシと暑いので日照時間も長いと思われがちですが、意外にも日本海側の方が長い夏の1日を過ごしているのです。

風向・風速

空気は、気圧の高い空気と低い空気が出会うと、気圧の高い方から低い方へ動き始めます。この動きが風です。風は、気圧の違う空気が出会ったときに生まれる現象で、気圧の差が大きいほど強くなります。風の中には、季節風のように数ヶ月にわたって吹く風や、低気圧や高気圧による数日単位の風、昼と夜で入れ替わる海風・陸風(※5)、全く吹かない朝凪・夕凪(※6)、地域に特有のやませ(※7)や空っ風など、風の強さや、吹く地域、期間や時間などが異なるさまざまなものがあります。気圧の違いによって生まれた風は、海や陸・地形の影響を受けてさまざまな種類に姿を変えるのです。
風向・風速を表すグラフは、花が開いたような様から、「ウインドローズ(直訳:風のバラ)」と呼ばれます。グラフの花心の色は「年平均風速」を、花弁の広がりは「風向頻度」を表しており、風向頻度や平均風速が違えば、色や形も異ってきます。地形の入り組む日本列島では、気候図を描くと図のように、さまざまな形のウインドローズが生まれます。さらに、アメダス気象データを全て用いると、この図の6倍の色・形とりどりのウインドローズが咲き乱れます。
※5海風・陸風:日中に降り注ぐ日射が地表面と海面を温めますが、陸地と海との熱容量差(土は0.2kcal/kg℃、水は1.0kcal/kg℃)により1日の温度変化に差が生じます。そのため、地表面の温度が高い日中は海から陸に向かう海風が、地表面がいち早く冷えると夜間には陸から海に向かう陸風が吹きます。
※6朝凪・夕凪:全く風が吹かなくなる状態を凪(なぎ)といい、海風と陸風が切り替わる時間帯で、明け方と夕方に発生します。
※7やませ:東北地方北部の日本海側で初夏に北東から吹く、冷たく湿った風。または、山越えした熱く乾燥した風。

降水量

アメダスの降水量とは、雨のほか、雪やあられなどの固形降水をとかし、すべて水の状態で測定した量をいいます。
国土の狭い日本ですが、多雨地方と小雨地方の年間降水量には6倍もの差があります。一般的に高緯度ほど降水量が少なくなりますが、これほど大きい降水量の差は、世界でもまれです。
その謎を解く鍵は、1月と7月の気候図にあります。1月は日本海側が特に多く、金沢は東京・網走のおよそ6倍もあります。シベリアからの冷たい寒気が日本海海上で温められて多量の水蒸気を含み、日本列島の日本海側で多量の降雪をもたらすためです。一方、7月は西日本の太平洋側が多く、熊本は東京の3 倍、網走の6倍ほどもあります。これは東南アジア特有の梅雨の時期にあたり、およそ1ヶ月間の長期にわたって多量の降水をもたらすためです。

気温

南北に細長い日本列島は、幅広い気温分布をもっています。例えば、北海道・釧路市の年平均気温が5.7℃に対し、鹿児島県・鹿児島市では17.6℃ です。これは、ヨーロッパではスウェーデン・ストックホルムの年平均気温6.5℃、スペインの南端・ジブラルタルの18.2℃に相当します。
この場合、南北の緯度差はヨーロッパの方は約23°ですが、日本の方は約11°と、10°以上も狭いのです。さらに沖縄県・那覇市の22.4℃は、アフリカ南部のザンビア・リビングストーンの21.8℃に匹敵します。
つまり、日本の緯度差17°に対して大西洋側では緯度差70°以上に相当し、日本には幅広い気温分布がぎゅっと濃縮されていることになります。これは、日本列島が広大なユーラシア大陸と太平洋との間に位置しているための特徴です。

年間日照時間(出典2)

年間日照時間(出典2)

月間日照時間1、4、7、10月(出典2)
月間日照時間1、4、7、10月(出典2)
月間日照時間1、4、7、10月(出典2)
月間日照時間1、4、7、10月(出典2)

月間日照時間1、4、7、10月(出典2)

風向別頻度及び平均風速 年(出典2)

風向別頻度及び平均風速 年(出典2)

年降水量(出典2)

年降水量(出典2)

月降水量1、7月(出典2)
月降水量1、7月(出典2)

月降水量1、7月(出典2)

年平均気温(出典2)

年平均気温(出典2)

OM気候区

OMソーラーでは、これらの気象要素(日照時間・風向風速・降水量・気温など)や、水陸分布(海岸や山岳の地形)から、その地域に共通する特徴を見出し、大きく9つに区分けした「OM気候区」を考えてみました。
「OM気候区分」では、日本列島をその特徴から大きく9つに区分けしましたが、実際にOMソーラーの家づくりを進める場合は、建設地の気象に最も近いアメダス気象データから、年間の気象や日照時間、降水量・降雪量、風向風速などを読み込み、自然エネルギーのポテンシャルを十二分に活かした計画を考えます。そして、快適と省エネをシミュレーションを活用して、ご家族のライフスタイルにあった温熱環境を生み出す設計にむけての検討を重ねながら、最終的な設計図を完成させていきます。

OM気候区

気候区 特徴
北海道 冬は非常に寒く、夏は梅雨もなく快適に過ごせる。
日本海 冬の日照は少なく雪が降る。夏はフェーン現象(※8)が見られる。
三陸 冬は寒いが雪は少なく、比較的日照も良い。
東海 冬は晴天が多く、それほど寒くない。
内陸 冬は寒いが比較的日照は良い。夏は涼しい。
瀬戸内 冬はそれほど寒くなく雪は降らない。年間を通し風が弱い。
北九州 冬は日照が少ない。夏は暑い。
南海 冬は温かく日照が良い。夏は湿度が高く蒸し暑い。
沖縄 夏は暑いが風が強い。台風の影響を強く受ける。

※8フェーン現象:山を越えて吹く風(空気)は、山を越える時に水分を失って乾燥します。そして、山の反対側の斜面を下降するにしたがって気圧が高まり、空気が圧縮されて気温が高まります。これをフェーン現象といいます。

出典1:「世界全地図・ライブアトラス」講談社発行1、出典2:『日本気候図 1990年版』 気象庁編 1993年刊