vol.34 妹島 和世 さん スカイハウス
妹島和世建築設計事務所

スカイハウスにて(写真:Iwan Baan, 2008)スカイハウスにて(写真:Iwan Baan, 2008)スカイハウスにて(写真:Iwan Baan, 2008)

ドミノ研究会のパンフレット(画像提供:伊東豊雄建築設計事務所)

ドミノ研究会のパンフレット
(画像提供:伊東豊雄建築設計事務所)

日本女子大学住居学科に入ってまだすぐの頃、上級生に薦められて図書館に建築雑誌というものを見に行った。そして驚いた。古い雑誌を見ていて、多分これは私が小さい時に写真で見て衝撃を覚えた建物だ、という建物に出会ったのだ。そんなものを見たことも忘れていたのに、小さい頃の記憶がよみがえってきた。菊竹清訓氏の自邸、スカイハウスである。子どもの頃、こんな家があるんだとすごく興味を持った家が、建築史上有名な家だということを知った。それから建築はとても近い存在になり、勉強することがすごく楽しくなった。そして、篠原一男さんの住宅を知り、伊東豊雄さん、坂本一成さん、長谷川逸子さんの住宅を知り、多木浩二さんの写真を知った。大学時代はあっという間に過ぎた。

卒業して伊東豊雄さんの事務所で働かせていただけることになった。働くといっても、ほとんど役立たずでよく怒られた。ちょうど伊東さんが住宅について考え直そうと、ドミノ研究会というものを立ち上げられた時で、私は担当になり、クライアントを待って住宅の設計をするというより、こちらから現在の都市に対しどういう住宅の提案ができるかを話し合った。土間のある家とか、二階にリビングがある家という住まい方の提案から、どうやったらもっと風を取り入れやすいか等の様々な快適性を考えたり、そのために色々な材料や既製品のアルミサッシを数種類取り上げ、性能、使いやすさ、コストの比較をしたりした。更に、どうやったら合理的な作り方ができるかなど。建築を何か手の届かないもののように夢を見て飛び込んだ私は、色々なことを考えるのは面白かったが、同時に、どうしてこんなことを考えるのだろうと、多少腑に落ちない気持ちで取り組んでいたように思う。

しかし今になってみれば、その時伊東さんが問題提起され色々ディスカッションしたことがそのまま、私がそれから30年以上建築について考え、作ることにつながっていることに気づかされる。そして、今なお、同じような問いをし続けながら、現在そしてこれからの建築について考えたいと思っていることに気づかされる。