vol.11 彦根 アンドレア さん

vol.11 彦根 アンドレア さん

ドイツ、フライウォークのサスティナブル住宅街。子供と子供の未来を重視している。
街のオープンスペースは人間のレクリエーションスペース。
街の大切な古建築と調和する新たな造作。
フライ・オットーのミュンヘン・オリンピアシュタディオン(1972)は長く使い続けられている。
ミュンヘンの地下鉄の余ったスペースをギャラリーとして有効に使う。
(写真提供:彦根アンドレア)

私の生まれ育ったところは豊かな自然に恵まれていた。故郷はドイツとスイスとの国境にまたがるボーデン湖に面したコンスタンツという町。町全体が森で囲まれていて、休みの日にはよく家の裏手を家族で散歩した。70年代のオイルショックの時には、“週末車禁止令”が出たこともあったが、子供だったせいかまったく不便を感じなかった。それどころか道路でパーティをしたり、ローラースケートをして遊んだり、車がないことがとても楽しかった記憶がある。

10歳の頃、オイルの値段があまりに不安定でどんどん値上がりしていたこともあり、父が建てた家はオール電化住宅だった。父は毎日の電力使用量をグラフにしてランニングコストを少しでも抑えようと努めていた。子供の頃からエネルギー問題があるということは頭のどこかで意識していたように思う。自然は最高のものだと信じているし、両親が建てた家で、長持ちすることの素晴らしさも経験することができた。大学では、材料をより理想的に使おうとするフライ・オットーの姿勢を目の当たりにしてとても面白いと感じた。

建築はさまざまな材料でできていて、それぞれの材料にサステイナビリティがあり、製造エネルギー、運ぶエネルギー、選んだ材料によって出来上がった建築を使っている時のエネルギーがかかる。そして、壊す時にもエネルギーがかかる。

自分が今暮らしている地域が発展することで、世界のどこか違う場所で問題が発生するというのは、自分の2人の子供のうち、1人だけに食事を与えるのと同じではないか……と私は思う。

今、解決すべき最も重要ことは、エネルギー問題だと感じている。世界中の人はみんな同じように食べものやシェルター(住居)を得て、安全に、安心して暮らせる権利がある。生活する上で自分が使っているエネルギーが地球や他の人間に迷惑をかけているとは思いたくないし、誰の負担にもならないエネルギーを使いたい。毎朝昇ってくる太陽を見ながら、やっぱりソーラーエネルギーにその答えがあると思う。

残った空間も上手に使い、使い続けて愛され続けることが、サステイナブルであるための大切なエレメントだと実感している。